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2016年07月号

アニコム他企業のペット関連事業への取り組みについて

2016年07月23日 16:30 by K-Tamaki
2016年07月23日 16:30 by K-Tamaki

アニコム、残念ながら総会へはいけませんでしたが、最新の取組をご紹介したいと思います。

何といっても同社の最新の取組は、株主通信にも記載されており、日経新聞でも取り上げられた富士フィルム株式会社とのジョイントベンチャー設立(セントラリスト・アニマル・セラピューティクス株式会社)でしょう。

富士フィルム、今や単なる写真フィルムの会社にあらず、画像診断、医薬品・サプリメントなどかなり多角化経営を行っています。身近なものの代表は、サプリメントの「メタバリア」、言わずと知れたダイエットサプリメントです。さらに注目すべきは、皮膚の再生医療を専門とするJ-TEC(株式会社ジャパン・テッシュ・エンジニアリング)を連結子会社としてグループ内に保有していることです。同社の製品は、日本で最初に正式に厚生労働大臣より再生医療薬として製品認可を受けています。

アニコムは、動物病院とのネットワーク等を通じて豊富な診療データを保有しています。富士フィルムグループと組むことで、アニコムの診療データを生かした再生医療を中心とした動物の先端医療技術・サービスを開発・提供するのが目的とのことです。

と、ここまでは株主通信の受け売りですが、より詳しくアニコムの取り組みをお伝えするために、電話でインタビューを試みました。自分は株主で総会に出席できなかったのですが、事業内容でお聞きしたいことがある旨伝えると、快く応じて頂けました。

対応してくれたのは、取締役亀田氏です。

記者:富士フィルムとの合弁会社を設立して、再生医療を中心とした先端医療を行うとのことですが、具体的にはどの分野から取り組んでいくのですか?富士フィルムさんは、子会社にJ-TECをお持ちですが、やはり皮膚科関連から取り掛かるこをお考えですか?

亀田氏:動物に特化した細胞レベルでの治療を行っていくつもりですが、まだ具体的にはどの分野へ特化するかは決定しておりません。候補としては、皮膚科、眼科、並びに内臓疾患関係の再生医療を行うことを考えています。

記者:その他に富士フィルムさんと組むメリットは?

亀田氏:現状、動物の再生医療に取り掛かっている病院は、(数は多くはありませんが)あります。それぞれの病院で独自に作成した治療証明書を発行しているのが実情ですが、実績のある富士フィルムさんと組むことで、当社の発行する治療証明書には、より確実な保証(お墨付き)を得られると考えています。また、動物保険の分野でもシナジー(相乗効果)が得られることを期待しています。細胞レベルでの治療や病気の予防対策が進歩することで保険料の削減が可能となり、新たな商品開発も可能となることを期待しています。

記者:ありがとうございました。

他にもアニコムは、ペット関連分野におけるベンチャー企業への投資会社、アニコムキャピタル株式会社も設立しています。動物保険で得た収益を動物医療や予防医学の関連事業へ投資して、最終的には「動物の疾病予防型保険」の開発・実現を志向しているようです。

また、28年3月期から株主配当も1株あたり5円、100株なら500円(税引き前)ですが出してくれました。今後も動物医療等への投資とのバランスを保って配当を実施していく予定とのことでした。アニコム、今後の取り組みに期待したいと思います。

 

ここで、もう1社、再生医療関連として大日本住友製薬株式会社の取り組みをご紹介したいと思います。同社は、子会社にDSファーマアニマルヘルス株式会社を保有しています。よく動物病院でお目にかかるフィラリア予防薬等を作っている会社です。今後、3年をめどに再生医療技術を利用して、注射するだけで犬のヘルニアやアトピー性皮膚炎の治療が可能となる再生治療薬を開発しています。

こちらも、電話で突撃インタビューを敢行しました。応対してくださったのは、経営戦略本部の森氏です。

記者:犬のヘルニアやアトピー性皮膚炎の再生医療薬開発状況についてお聞きしたいのですが。

森氏:現状としては、今年の4月に工場を開設しました。これから、この工場で細胞の培養・治験を行って行きます。

記者:人間の薬品の開発では、フェーズ1、2、3、と三段階以上の治験レベルがあり新薬の認可までにかなりの時間を要すると聞きますが、動物用の治療薬の場合はどうなっているのですか?

森氏:人間の薬の認可ほど長い時間を要しません。フェーズ1のみ行うと思ってください。試験的に投薬を行い、ある程度の治療効果が確認できれば、(もちろん症例数は必要ですが)申請・認可となります。再生医療の分野は、現在日本が世界でトップを走っており、今後も期待できると思います。特にこの分野での国の規制緩和が実現すれば開発のスピードがあがると思います。

どうやら、昨年の日経記事の通り開発を進めているようですね。成功すれば、世界初となるこの再生薬、ヘルニアやアトピー性皮膚炎に苦しむワンちゃんたちのために早く実用化してほしいものです。今後は、年単位で問い合わせをすれば進捗状況を確認できるとのことなので、継続取材を行うつもりです。

そして、最後に現在確認中の情報をお届けします。

IoT(Internet of Things)、最近、この言葉を耳にすることがあると思います。すべての物がインターネットにつながる、ということですね。

アメリカでは、ペット用品のIoT化も進んでいると言われています。そのペット用品等のIoT化技術で世界のメーカーに次々と採用されている会社があるそうなのです。マザーズ上場のアプリックスIPホールディングス株式会社がその会社なのですが、これについても調べてみたいと思っています。

はたして、この技術でペット用品にどのような画期的な商品ができるのか?、ペットとの暮らしにどんな便利な未来が待っているのか?、調査してみるつもりですので、お楽しみに!

 

 

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