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2017年09月号

知っておきたいペットの病気その1~泌尿器編(簡単な見分け方と注意点等)

2017年09月20日 22:21 by K-Tamaki
2017年09月20日 22:21 by K-Tamaki

人間と同じく高齢化時代をむかえていると言われるペットたち、当然、高齢化に伴って様々な疾患が増えてきます。ここでは、かかりやすい病気を見分ける注意点、症状、そして治療について簡単に触れていくことにします。まずは、泌尿器編です。

1.腎不全 

犬猫ともに高齢化にともない、よく見られる疾患の代表的なものが腎不全です。ご承知の通り、腎臓は血液中の余分なもの(老廃物等)を尿として排出する働きをしています。ここで注意すべき点は、健康な腎臓の能力を100とすると、腎臓はその半分以下となっても十分その機能を果たすことができるという点です。また一度に腎臓全体が悪くなるのではなく、徐々に(部分的に)損傷していきます。そして損傷した部分は治癒することはありません。知らないうちに進行し、症状が重くなっていくので注意が必要です。

症状としては、①多飲・多尿、②体重の減少、③元気がない、④時々吐くなどです。②~④はすぐ見つけられるでしょう。そこで①多飲・多尿の目安について触れておきます。

標準的飲水料: 犬 20~90ml/day, 猫 0~45ml/Day 猫が一日を通してまったく水を飲まないこともありますが、その時は食餌から水分をとっています。缶詰等のフードを主食とする猫には、時々見られます。

標準的尿量: 犬 20~45ml/day, 猫 20~40ml/day この量はあくまで目安ですが、多尿・乏尿を判断するのは、単純にその物理的な量だけでなく、比重(尿の濃さ)によって行います。これは、尿の色調によって次の通り簡単に見分けられます。

①正常な尿色:薄黄色、黄色、透明 ②異常あり:オレンジ、赤色、混濁した尿(不透明)

もちろん個体差がありますので、飲水量、尿量とも普段の量に比べて多い日が続くか否か、異常な色の尿が続くか否かを判断の目安としてください。

治療法:食餌療法と内服薬の服用が中心となりますが、悪化した場合には点滴等で尿量を増やすことも行います。現状では腎不全になってしまったら、腎臓の機能はもとに戻ることなく、進行を遅らせる対処療法のみとなります。そして、一生、この病気と付き合わなければなりません。しかし、あきらめることはありません。現在、東レが猫の腎不全の進行を遅らせる薬(ラプロス、2月号その他動物医療情報参照)を販売するなど、よい薬がてきています。日々の観察による早期発見、早期治療を心掛ければ、うまくこの病気と付き合っていけるはずです。

2.猫の尿結石

その身体構造上、猫、雄猫は結石に注意が必要です。特に雄は、尿道が細くて長いので結石が詰まりやすい構造となっています。逆に雌は、尿道が太くて短いため、雄猫と比較して結石は詰まりにくいのですが、細菌性の膀胱炎を併発する傾向があります。

症状:頻尿・血尿(膀胱炎症状)→無尿(頻繁にトイレに行くが何もでない)→尿路閉塞と進行します。もし、尿路閉塞まで症状が進行してしまったら、閉塞発症(最後の排尿時)より48時間で尿毒症により生命の危機が訪れることもあるので注意は必要です。①トイレに行くが何も出ない、②留守中などでトイレに排尿の形跡がない、場合はすぐに獣医師に相談してください。

治療:症状の重篤度によって異なります。基本的に、投薬により結石をとかしその後は食餌療法となりますが、重篤な場合は手術が必要です。

 3.膀胱炎

上記の猫の尿結石のところでも触れましたが、膀胱炎、これは。犬猫ともに頻繁にみられる病気です。特に雌の犬猫では細菌性タイプの膀胱炎が多く見られます。これは、雌の尿道が短いため外部からの感染を受けやすいという身体的構造上に起因するものです。

症状:頻回で少量の尿、血尿、混濁した悪臭のする尿、血尿は、排尿の終わりごろで顕著にみられます。

治療と予防:治療は、主として抗生剤の服用となります。症状が消失しても1週間くらいは飲み続ける必要があるので、処方された薬は最後まで与えるようにしてください。また、予防としては、長時間排尿を我慢させないこと、です。これは、排尿と言う行為が暴行の感染に対する一つの防御の機構となっているためです。

 今回は、泌尿器系で注意すべき病気を挙げてみました。人間よりもハイペースで高齢化が予想されるペットたち、私たちがしてあげられるのは、まず、早期発見と予防です。そのために、これからも系統別に簡単にまとめて注意点をお届けしたいと思います。

 

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