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2017年12月号

循環器の病気について~簡単な見分け方と注意点等

2017年12月29日 10:56 by K-Tamaki
2017年12月29日 10:56 by K-Tamaki

 循環器系の代表的な病気は、何と言っても心臓病です。特に小型犬や猫に多くみられる僧房弁閉鎖不全症には注意が必要です。

僧房弁閉鎖不全症は、遺伝的要素が強いといわれており、心臓の血流を制御する(逆流を防ぐ)僧房弁という部位に支障が生じる病です。血液の逆流に抗しようとして心臓に負荷がかかり、結果、心筋が肥大(心肥大)して肺を圧迫したり、末期的には全身に血液を十分に送り出せなくなる(心不全)の症状を呈します。

症状:この病気の初期は無症状のことが多いのですが、①運動を嫌うようになる、②疲れやすくなる、③よく咳をする、④激しく興奮すると舌が紫色になる(チアノーゼ症状)、⑤聴診器で心臓の雑音が聞こえる、などで診断できます。特に、咳。ガチョウの声のようなガーガーという咳をする場合はこの病気が疑われます。

治療:最近では、アニコムの子会社、日本どうぶつ先進医療研究所などで外科的な治療(弁置換による完治を目指す)なども行われているようですが、基本的には、対処療法が主となります。すなわち、①薬(強心剤等)により病気の進行を遅らせる、②咳などの症状の緩和(気管拡張剤など)の投与を行います。また出来るだけ心臓の負担を減らす(運動量を減らす)など日常生活で工夫をしてあげることが必要となります。食事は、塩分を控えた物を与え、ジャーキー等はなるべき控えるようにすべきです。

この病気にたいする先進医療が普及するのは、まだまだ先のことですので、上記のような症状(特に咳)を見逃さず、出来るだけ早くかかりつけの獣医さんに相談して治療を始めてください。記者もかつて愛犬をこの病で亡くしています。愛犬・愛猫が6歳以上になったら注意してあげてください(この病気、シニアに多くみられます)。

 次に注意が必要なのが、フィラリア症です。これは皆さんよくご存じと思いますので簡単に触れておくことにします。フィラリア症は心臓に寄生する寄生虫病で蚊の媒介により感染します。フィラリアの幼虫を持った蚊に刺されると、幼虫は皮膚から体内に入り心臓に到達、成虫になって子虫を産出するまでの期間は約6ヶ月です。

 症状:初期は無症状ですが、次第に①咳、②運動を嫌がる、③腹部膨満、④赤色尿などの症状が現れます。

治療:ほとんどが薬の投与で予防できますが、酷くなると外科的治療(手術で寄生虫を除去)となります。現状では、予防薬は美味しくペットが食べやすいものが普及しているのできちんと投薬をしていれば、心配は無用です。

但し、注意すべき点として、フィラリアは犬だけの病気という印象がありますが、猫も感染し、人間の感染も報告されているということです。予防方法が確立されているので、フィラリア症にかんしては、過度に心配する必要はありませんが、注意は怠らないようにしたいですね。

では、次章は呼吸器関連です。

 

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