ここでは、呼吸の病気を少し紹介します。
1猫ウィルス性鼻気管炎(FVR)
ウィルスによる上部気道感染症です。急性、慢性いずれの所見もありますが、急性経過をとる場合が多くなっています。
症状:くしゃみ、鼻汁、発熱、結膜炎、食欲減退などです。
この病気は、ワクチンにより予防可能です。
2犬の伝染性気管支炎(ケンネルコフ)
ウィルスや細菌性の気道感染で二次感染がおこることで症状が悪化します。他の病気を併発する合併症があれば、深刻な病状となりますが、なければ治療後の経過は良好で心配はいりません。症状は、猫ウィルス性鼻気管炎と同様で、同じくワクチンにより予防可能です。
3気管虚脱
鼻と口から肺までを結ぶ気管は、正常な場合はその横断面が円形をしていますが、これがつぶれたような形に変形してしまい、すぼまって狭くなった状態(狭窄)をいいます。
症状は、運動の後などのガチョウ音の咳です。小型犬の中高年期によくみられますが、問題はその原因。先の循環器系の代表的な病気でふれた僧房弁閉鎖不全症の悪化による心肥大が原因となっている場合が多く、注意が必要です。愛犬・愛猫の咳には、注意してみてください。
4肺水腫
時々耳にする言葉ですが、注意すべきは、これは病名ではなく症状名です。肺疾患及び心疾患で見られる症状なのです。肺水腫とは、肺の中に過剰な液体が貯留する状態をいいます。原因は、感染症などによる肺の炎症性疾患の場合もありますし、心疾患に起因する循環不全などによる肺高血圧のときもあります。もちろん、先にふれた僧房弁閉鎖不全症に起因する心不全(心臓が正常に働いていない状態)でも起こります。獣医さんから、この症状名を聞かされた場合(あまり聞きたくはありませんが)、その原因となる病気とその治療方針について、よく説明を受けてください。重症になると呼吸困難により死亡する場合もある症状ですから。
これらは、飼い主にとって断片的な知識に過ぎないかもしれませんが、知っておくと少しでも獣医さんとコミュニケーションを良くする(獣医さんたちの説明を理解する)のに役立つと思います。これからも、同様の観点で記事を書いていこうと考えています。少しでも飼い主である皆様のお役に立つように。
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