今年4月にアイペットが東証マザーズ市場に上場しました。そのお蔭で財務データが入手しやすくなりましたので、まずはアニコムとの比較を行ってみることにします。企業の評価基準は、多々ありますが、株式マーケットで両社の成長性、安定性などがどう評価されているかをまとめてみました。
まずは、開示されている業績から代表的な指標を抜き出してみます。
増収率 経常増益率 売上高経常利益率
アニコム +11.3% +67.3% 8.6%
アイペット +18.2% +1.6% 3.9%
数値は、いずれも2019年3月期決算の前年(2018年度)に対する増加(予想)率となります。
もう一つ、投資指標と売上高を示します。
予想PER 予想PBR 予想EPS 予想BPS
アニコム 38.19 5.69 110.9 744.31
アイペット 52.98 6.04 70.5 617.98
売上(百万円): アニコム 32,339、アイペット 12,268
株価(5/28): アニコム 4,235 アイペット 3,735
注)EPS:一株当たり利益(円)、BPS:一株当たり純資産(円)、PER:株価/EPS、PBR:株価/BPS
ここで、投資指標に馴染みのない方のために簡単に解説しますと、一株当たりの純資産とは、会社の現在の解散価値(一株当たり)でPBR1倍を下回るケースは解散価値以下の評価(株価)といえます。また、PERは、その数値が低いほど現在の株価は割安、高いほど割高といえます。但し、PERについてですが、よく経済紙の紙面で日経平均の予想PERは13倍などという記事を見かけますが、成長途上の企業は、概して日経平均よりははるかに高い数値を示しています。これは、将来の成長をも織り込んだものを示していると言われています。
と、これらを並べただけでは、なかなかピンと来ないかもしれませんね。そこで、評価分析を行っているクォンツリサーチ社の評価チャートを引用させてもらいます・
まずは、アニコムの評価です。紫色は、保険業全体の評価を表しています。これにより保険業という業種の中でのアニコムの位置がわかるというものです。
このチャートが示すのは、①保険業という区分では、成長性は抜群であり、②会社の規模は同業者で中堅より上、③財務健全性(会社の安定度)も同業種では抜群、であるが、④現在の株価は業種平均より割高に買われているということです。マーケットの評価ですから、これにテクニカルと市場トレンドという項目が加わっています。テクニカルは、数値が高いほど(現在の株価で)投資する魅力があることを示し、市場トレンドはその数値が高いほど現在の投資のトレンドに乗っていることを表します。
では、次にアイペットの評価を見てみましょう。
アニコムと見比べてみるとよくわかりますが、
①アニコムより会社の規模は小さい(売上では約1/3ですね)が、②成長性は同じく抜群であり、③財務健全性も見劣りしない、かつ④市場のトレンドにはアニコムほど乗れてはいないが(それゆえにか?)⑤株価はアニコムとの比較では割安であり、投資する魅力は高い、と読めます。記事の最初の方で、予想PERは高いほど割高だと書きましたが、(現にアイペットはアニコムより数値が高い)、この評価では、アイペットはまだまだ成長する可能性を秘めているとみられているようですね。
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