今回は、対象企業の株価推移表から見てみましょう。
この一覧表は、3月末から前週末(8/17)までの株価推移を示しています。企業群は、前回のものにアイペットを加えたものですが、便宜上、その時価総額の大きさによって大型株、中型株、小型株に区分けしました。この表からは、①日経平均は、月中の上下はあるが、月末ではそれほど大きな変動はない、②大型株、その傘下にペット関連ビジネスを展開する企業群は、むしろ上昇している。③中型と小型(これらはペット関連ビジネスを主たる事業としている企業)は、個別の材料で上下している(個別の材料には次章以降で触れていきます)、ということです。
それにしても、イオン、ユニ・チャームの上昇、日本動物高度医療センターの下落が目立ちます。これが現状を端的に言い表しています。
①日経の市況解説なででもよく言われていることですが、日銀のETF買、これが日本市場を支えている、ということです。簡単に言うと、政府日銀がETFという証券商品を通じて、日経225に代表される企業の株式を購入している、ということです。時価総額の大きい企業ほどその恩恵は大です。これは、悪く言えば、買い支えです。買い支え+好業績となれば、株価は当然上がります。
②反対に、日銀の買い支えの恩恵が少ないのは、中小型株。さらに業績悪化となれば、それは売られます。決算発表は、8/14で一巡しましたが、その中で話題になったのが、なんといってもメルカリ。6月にマザーズ市場に上場しましたが、上場後の初の決算で想定より赤字大幅拡大、売上と同額の販売費を計上(当然、原価分だけ赤字となります)。日本国内は、好調のようですが、米国への進出が足を引っ張っているようです。他にも、成長企業として認識されていた「医療スーツ、ハル」のサーバーダインなども想定を下回る決算でした。さらには、一部ですが、上場後すぐ決算を下方修正するおそまつな会社も!(これ、悪く言えば、上場ゴールの詐欺会社ともいえます)
③これらの要因で、成長企業の業績予測に疑問符がつき、資金が流出しています、さらに悪いことに日銀の買い支えがまったくない小型株市場(マザーズ、ジャズダック)では、大口の買い手がいないのです。そして、個人投資家など積極的にリスクを取る資金も米中貿易摩擦などによる将来の不透明要因で買い手控え状況です。完全な需給悪、これでは、特段の業績向上、画期的な新製品の開発等のブレークスルーがない限り、個別企業の株式にも資金は入って来ません。”普通に業績がよい”程度では、指数とともに駄々下がり・・となります。
メルカリの上場は失敗・・・とまでは言いませんが、記者が様々な証券関係者から聞く限り、悪影響をおよぼしていることは間違いないでしょう。そして、(本日8/23 米中の制裁関税措置発動で)悪材料出尽くし、目先底打ち反転の兆しはありますが、根本的な解決(中国の大幅譲歩等)を見ない限り、この状況はまだまだ続くと思います。これら、現在の市場環境を踏まえて、次章では個別に見ていきましょう。
参考)3/30を100とした全対象企業の株価推移チャート&3月号での推移一覧表(1/17-3/23)
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