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2018年10月号

次は、3級(公助)~安全に避難でき、心身ともに安定した避難生活を考える

2018年10月16日 13:46 by K-Tamaki
2018年10月16日 13:46 by K-Tamaki

次は3級です。ここでは、安全に避難できるための準備(4級)の学習内容をもとに、心身ともに安定した避難生活を送るための知識にも踏み込んでいきます。

まず、都や各区の自治体が公表している自宅付近のハザードマップを含む地域の災害対策の確認は必須です。それとともに、被害想定(過去の被害実績をもとにした予測)も確認しておきましょう。

これは、フォローアップガイドにある東京湾北部地震の被害想定の一部です。ライフライン、特に電気・水道・ガス、電話やインターネット回線、鉄道、これが一つでも機能不全に陥れば、生活に支障をきたします。皆さんも居住市域のハザードマップや地震、洪水、津波等の被害想定をこの機会に確認してみることをお勧めします(各自治体のHPにアップされているはず)。災害の種類、規模や自宅周辺の地形によって被害想定も何日分の食料備蓄が必要なのかも異なりますが、この被害想定が一応の目安になることでしょう。但し、被害想定には、ペットに関する被害は記載されておらず、それが気になるところです。

ハザードマップ、被害想定の説明の後、最初の演習がありました。

内容は、各グループごとに、与えられた地図上での自宅の場所を設定し、自宅の構造(鉄筋コンクリ―ト造、5階建てマンションの3階に居住、木造2階建て居住等)の前提条件を与えられ、そのうえで、①地震、②津波、③土砂崩れがおきた場合のそれぞれの被害想定、事前準備について、制限時間内に取りまとめ、これまた制限時間内にリーダーによる発表を行うというものです。

ここでは、防災グッズ準備、家具の固定、土嚢の準備など自助(自ら行う準備)はもとより、共助(近隣住民と協力して行う防災対策)の回答が求められています。例えば、地域ごとの避難訓練への参加、近隣の要介護者や家族構成の把握(災害発生時に救助側へ報告でき、避難時に声掛け、補助などができる)など周りといかに協力して避難できるために何ができるかが問われます。

記者のグループは、マンション居住の前提でした。発表では、共助の観点から、事前準備ではマンションンの管理組合の会合に出席して(自己保有を前提)、全入居者のペット飼育状況確認、避難経路等の事前打ち合わせを毎年行うように提案・実践する、と回答しましたが、被害想定や事前準備のメモは制限時間内に書ききれず、口頭でほとんどを補足説明、しかも制限時間オーバー、という始末・・・やはり、普段から意識していないと、この制限時間(まとめ5分、発表3分)では厳しいものがあります。この演習、普段の災害への意識レベルを確認でき、また至らなさを反省できるいい機会となりました。

では、ここからは、記者のメモより講義内容にふれていくことにします。

1)国の対策

災害対策の基本は、予防(被害想定、防災対策)→応急(被災時の避難所開設等の応急処置)→復旧→復興(被災以前の状態に復元)の流れとなっている。しかし、詳細は各自治体ごとに異なっているので注意は必要ということです。最寄りの自治体に日頃から確認しておくことが重要ということですね。

東京都の場合ですが、避難所でのスペースは一人当たり、1.57~2.93㎡とのことです。会場で実際にこの広さのスペースを確認しましたが、やはり狭いです(安定した避難生活には一人当たり4㎡必要と言われている)。そして、避難スペース収容の際の区割り優先順位は、世帯・血縁関係→居住地域(xx1丁目xx番地居住者で一区画等)とのことです。

「隣は何をする人ぞ・・・」、都会に限らず最近は、近所付き合いが疎遠になる傾向があると言われていますが、せめて日常の挨拶くらいは励行しておきたほがよさそうです。何気ない挨拶だけでも防災の一部になるという意識を持つことが重要とのことでした。

そして、これもご存じかもしれませんが、避難場所と避難所の違いについてです。避難場所とは、屋外の一時待機スペースで(避難所への移動までの)、飲料水、食料の備蓄はない、避難所とは、飲料水、食料、トイレがある限定的な生活場所(災害の危険が無くなるまでの滞在施設)と定義されます。但し、ここでの食料にペットフードはほぼない(自分で用意すべき)と考えておくべきです。また、その後は一次避難(避難所)→二次避難(仮設住宅)へとなりますが、仮設住宅は20以内は家賃無料(原則、水道光熱費は自己負担)、入居期限は2年以内と災害救助法で定められています。

 2)避難時及び避難生活での注意点

避難時は、パニックを起こさないように気を付ける。パニックが起こる条件として、①差し迫った危険がある(思い込み含む)、②脱出できる(助かる)可能性がある、③制限があり、全員の脱出が困難、④正常なコミュニケーションが欠如(初対面、他人の集団の場合含む)があげられ、このすべてがそろった時、出口へ殺到、そして・・・となります。この4条件がそろわないように工夫すべき(深呼吸して冷静になる、声掛け等)とのことでした。ちなみに、助かる可能性がない時はパニックは起こらない・・・当たり前ですね。

倒壊認定されていない場合の在宅避難について:メリットは何と言ってもプライバシーが確保できること。しかし、避難所生活よりも水、食料の配給確保が困難となる。ペットフードはなおさら入手困難となるでしょう。この際には、備蓄と普段からの声掛け等により近隣の住民間での情報の共有・提供を心掛けることが対策となります

避難所では、「流言」に注意する。以前に「地震で動物園からライオンが逃げ出した!」と言う情報がネットで拡散されたことがありました。これなどは、悪戯にしては度が過ぎていますが、悪意はなくとも事実とは異なる情報が拡散されるケースがあります。また、親切心から自分でも拡散してしまうケースも。これらは、必ず信頼できる情報か否か(国、地方自治体、公共機関等の情報か否か)を確認することを怠らないようにしましょう。

記者のメモからの重点項目は以上となります。最後に、もう一つ演習がありました。その内容を記載して、この章を終わります。

グループ演習②

前提)現在、避難所となっている小学校のグラウンドに被災者が集合している。地方自治体の担当と相談の上、以下の被災者グループ、及び設備を、避難場所となる小学校の体育館(1F)及び2-4F、屋上への適切な割り振りを決めよ。またその際の注意点もまとめて発表せよ。但し、この避難所はペット同行避難可である。

被災者グループ:近隣在住者(xx町内会1・2丁目、同3・4丁目、同5丁目)、観光客・外国人グループの4つのグループ

設備:仮説トイレ、ペットのお世話所、情報掲示板、ごみ集積所の4つ

これは、国・自治体の基本的な避難誘導の考え方を知るのに役に立ちます。

フォローアップガイドに一例が記載されていましたので、(記者の補足解説とともに)以下↓をご覧ください。

 

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