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2019年09月号

具体的事例、この場合は!?

2019年09月27日 11:24 by K-Tamaki

 では、相談事例として紹介された案件を前章の法律的ポイントを参考にしてみてみましょう。(ちなみに、講習では、ここまでの解説はしておらず、消費者側の観点からは正直言ってあまり参考にならないものでしたが・・)

事例1)犬のブリーダーの店に出向いて子犬を購入し、当日中に半分を支払うように言われたのでクレジットカードで支払った。引き取りは2週間後になっているが、別の犬も欲しくなり、これから何十年も一緒にいることになるので、、もう少し見てから決めればよかったと後悔した。キャンセルを申し出たところ。支払った分は返せないと言われたが、返金してもらうことは難しいか?

→まず、予約金が購入金額の半額、これが妥当な額かどうか、ですね。確かに予約金は契約成立の証となることもあり、販売する側にとっては、(予約されたら)他の消費者への販売機会を失うので、その期間のコストとみることができます。但し、購入額の半額と言うのは、著しく消費者側に不利です。(ただし、数か月後にお迎えというなら子犬はすでにかなり成長してますので理解できますが)この場合、法律ではその期間の平均的損失額なら妥当だと判断します。お迎えまでの期間にもよりますが、せいぜい購入額の1~3割の間が妥当です。全額返金は無理でも、交渉で金額を減らせるでしょう。

 事例2)トイプードルをトリミングに出したら全身切り傷だらけで戻った。「何があっても責任は負えない。」という同意書にサインがあるから何も対処しないと言われ不満である。同意書の控えはもらっていない。

→典型的な請負契約の債務不履行事例ですね。そもそも何があっても責任は負えない、これが記載されている時点でその同意書は法的効力はありません。契約自体が著しく消費者側に不利ですから、無効なものとなります。代金を支払わないのは当然、損害賠償請求すべき事例です。が、それ以前に、このような同意書の文言をみたなら、トリミングを依頼しないことが最良の策でしょう。

(注:この写真は事例とは無関係です)

 事例3)仔猫の健診のために動物病院を受診させたところウィルス感染し亡くなった。病院の酷い対応を情報提供する。

→ペット診療は、準委任契約といえます。健診で受診した仔猫を感染症で死亡させるなど医療の専門家である獣医師として言語道断!、診療ミスで完全なる善管注意義務違反です。ただ、診療ミスを実証することは困難で、損害賠償はなかなかハードルが高いでしょう。情報提供がせめてもの抵抗(腹いせ、いやがらせ?)なのかもしれません。

参考までに診療ミス、医療ミスにかんして、ペット協会の理事も務めているS弁護士に訴訟の実態を聞いてきましたのでご紹介します。

以下、S弁護士のコメントです。

-獣医師の診療ミスを訴える場合、まず1)カルテ・診療記録の保全(これは、スタッフを院内に派遣し、関連するすべてのカルテ、診療記録をデータとして保存すること)、2)第三者の獣医師による診療記録へのコメント(その治療、診断が妥当であったか否かを中立的、獣医学的にコメントする)ことが必要となります。

-これらが可能となって初めて診療ミスが実証でき、治療にあたった獣医師と病院の責任を問えるのですが、賠償金としても診療にかかった費用(実費)プラスαが請求できるだけで、実質持ち出しとなるので(費用は、カルテの保全、コメントしてくれた獣医師への報酬等で百万円を超えるケースもある?)、断念される人が多いようです。お金ではなく、ご自身の気持ちの問題で訴訟に踏み切る方も中にはいますが、皆さん、コメントをしてくれる獣医師を探すのに苦労されてるようですね。

ちなみに獣医師法ではカルテの保管期間は3年(医師法は5年)のはずです。この期間を過ぎてしまうとカルテを破棄されている可能性もあります。また、動物愛護相談センターに獣医師紹介について聞いてみましたが、全く役に立ちませんでした。やはり、獣医師の医療ミスを訴えるのはハードルが高いようです。

 

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