富士フィルムの株主総数は、447,382名(総会で発表)、招集通知に来場自粛要請の文言があったせいか?、来場者は100~200名くらいだったと思います。業績・議案の説明に30分、その後質疑で、合計1時間に満たない総会でしたが、質疑は6名中5名がアビガンについてで感心の高さを伺わせました。
では、さっそくその内容をお届けします。富士フィルムからは、医薬品事業の責任者岡田氏がすべて回答してくれました。
質問①:5月承認が遅れていますが、アビガンの現状を教えてください。また、いつ上市されますか?
回答:国内では3月より治験を進めています。全国の700の病院施設で4,000名以上に投与されました。海外では、米国で治験を開始、今後は100ヵ国以上に展開する予定です。現状は、インフルエンザ治療薬として政府に備蓄されていますが、増産体制を整え、7月に10万人分、9月に30万人分の生産が可能となります。政府からは200万人分の依頼があり、今年度中(会計年度ですから2021年3月末ですね)にはそれが可能となります。現状は、医師の判断、本人の希望がある場合に投与でき、市販で買える様な状況ではありませんが、これは承認の状況により変わってきます。
(増産体制については、5月にお届けした情報そのままですが、治験承認だけ遅れているようですね)
質問②:報告されている副作用で気になる点はありますか?
回答:副作用にかんする情報は、(会社が)直接管理していませんが、現状、特に気になる報告は上がってきていません。尚、妊婦さんへの投与はおこなっていません。
質問③:一部で効果がないとの報道があり不安になりますが、(実際のところはどうなのでしょう?)
回答:(当社側から)治験中の生データにアクセスできないのですが、現場の医師からはそれなりの効果があったとの報告が上がっています。
質問④”備蓄”と言う言葉の意味はどうとらえればいいのですか?
回答:厚労省の買い上げで同省の判断で使うということです。
質問⑤:(治験・開発に)失敗した場合、全て買い取ってもらえるのですか?
(これは、④と同じ方の質問で厚労省の備蓄要請分は全て政府の買取ですから、そこまでいけば大丈夫と意味で回答されたのでしょう。が、医薬品会社が開発・治験に多額の費用をかけて、その失敗作を買取ってもらえたことは聞いたことがありません。しかし、今回のコロナ感染症治療薬の場合は、国家予算が付くはずですから。)
質問⑥:レムデシビルは2ヶ月、2,000症例で認可されています。現在、行っている治験を国際的な枠組みで行うことはできませんか?そうすれば、(レムデシビルのように)早期承認が可能になるのではありませんか?
回答:米国では治験を始めていますし、他国でも治験の準備を進めているところです。
(米国の場合は、CDC(疾病予防センター)がかなりの権限が与えられています。いわば、国家非常事態宣言で国民の行動を制限できるようなもので、少数の治験データでもCDCの権限で承認・量産が可能となります。残念ながら、日本では厚労省にこれに類する権限はない、それが大きな違いです。)
株主の質疑要約は以上ですが、記者も質問しようとしたところ、感染防止で時間短縮ということで打ち切りになってしまいました。4,000名以上の治験で、まだ承認がおりない?、海外の治験はどうなった?、会社側からデータにアクセスできない、とはどういうことだ!、会社は治験の承認遅延の原因をどう分析しているのか?、など尋ねてみたかったのでが・・
要は、いつ承認され、いつ私達が使えるようになるのか?これがすべての人が知りたいことなのです。数人の株主も質問の中で触れていましたが、会社側からは明確な時期の回答はありませんでした。もっとも、明確に回答するのは難しいとは思いますが、巷にあふれる”コロナ関連”の情報で疑心暗鬼に陥ることもある私達にとって、見込みだけでも答えてほしかったところです。
会社は、アビガンの開発には全力で取り組む、応援してください!、との言葉で総会を締めくくりましたが、質疑応答の時間短縮はいただけません。記者が参加した中でも、アニコムは1時間、日本動物高度医療センターは3名の質問に40分以上の応答の時間を割き丁寧に答えています。いくら感染予防で時短指向とはいえ、少数株主軽視、大会社のおごりと言われても仕方ないと感じます。
アビガンについては、引き続き情報を得ましたら記事にします(ペットマガジンの範疇を逸脱してますが)。そして、前後しますが、次回はアニコムの記事を予定していますのでお楽しみに!
読者コメント