例年通り、質疑内容を記者なりに要約してお届けします。
口火を切ったのは、4番目に質問にたった女性の一言でした。(この方、以前に大株主の代理として質問されていたと記憶しています。)
質問:毎年、毎年同じ話ばかりですね。それに会社の成長が乏しい・・現時点での経営の問題点はどこにあるとお考えですか?
社長:毎年、(対処すべき課題など)同じ話ばかりとのご指摘は、認識しています。上場企業として、成長速度が遅いのが最大の問題・・・(しばし沈黙)病院経営の反省点は多いのですが、私としては一歩、一歩、いい病院をつくるために努力していきたい。新しいエリアに病院をつくって可能な限り早く全国展開をしていきたいし、新しい事業へも展開していきたいのです。しかし、病院を1つ作るのには(収益が十分あがる位に稼働率を維持できるようになるのには)10年かかります。病院拡大のスピードが上場企業に求められる成長速度にみあっていないのが問題だと感じています。
(成長速度が遅い・・・これは確かですね。病院を1つ作るのに10年・・それはわかっています。だから記者も画像診断を使った遠隔地医療やオンライン診療を提案してきたのですが・・少しも進んでいない感じがします)
このチャート、ここ1年間の動きを比較したものを作成してみました。青い線が日経平均、緑が成長株市場と言われているマザーズ指数、そして青と赤のローソク足が同社の株価推移です。
昨年の10月まではコロナ後を見据えた成長期待でマザース指数と同様の動きをしていましたが・・その後は上昇どころか下降トレンドに・・差は開くばかりです。これが株式市場の評価・・これでは数千万単位で投資している個人投資家はたまりません。思わず口を出したくなるのも理解できます。そして、案の状、その大株主の方が質問に!
質問:最大の問題点は社長にある!はっきり言ってこの3年の業績はしょぼい!私は病院を運営している他の会社を知っているが、そこは年率40%で成長している。社長さん、あなたは優しい性格だとお見受けするが、医療に専念して(経営は)他の方にまかせたほうがいい!例えば、三菱商事などと提携して社長は提携先からリクルートしてくるのはどうか?
社長:それは・・・ひとつの方法かもしれません。私は辞める覚悟はあります・・・が、病院として(動物たちと飼い主に)何ができるのかを考えていきたいのです。耳あたりのいい成長戦略を語って株価を上げるのではなく、この高度医療センターを本当の意味で(動物たちと飼い主に)必要とされる病院にしたいのです。私は、決して優しくなく従業員からもそれほど慕われているとは思っていませんが、優秀な経営者では(かえって)医療はだめになります・・・(言葉に詰まりながら、涙ぐむ場面も・・・)
(社長のこの話に数名の株主から拍手が起こりました)
その後、2名の株主からも援護射撃が!
株主A(最近株主になった方で最初の発言者):質問としては、持ち株会はありますか?(これは現状無しと回答)ということですが、私は当社は社会に必要な会社と思っています。
株主B(毎年出席されている同業者の方):労務管理の問題を含めて、この仕事は対面で1つ1つ対応しながら利益をあげていくには外からみるより遙かに大変です。自信をもってやってほしい!
理想を言えば、株式投資とは中長期で自分の応援したい会社に投資してその会社の成長を見守っていくとともに自身も資産を増やすこと。しかし、短期での株価上昇で利益を得ることも大事!上場からすでに6年目を迎えた同社、赤字の年度はなく利益は常に上がっています。ただ、成長速度は明らかに他の新興企に見劣りしています。しかし、上場する唯一の動物病院、動物好きとしては直接言いたいことを言える獣医さんの代表、それだけでも貴重な存在と記者は思います。皆さんはどう思いますでしょうか?
ただ、嫌気がさしたこの大株主が売りに回れば株価は大暴落です。そのそぶりを感じれば否応なしに他の大株主からも退任の圧力がかかってくるかもしれません。今後の展開、少し目が離せなくなってきました。
では、次章は記者を含めた他の質疑応答と記者なりの考えをお伝えします。
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