前章のアニマルジャスティス党の修正案は、日本と同様にコロナ特需で問題になった無茶な繁殖に歯止めをかけようとするものです。
これに対する反応ですが、オーストラリアを代表するケネルクラブの評議会メンバー、DogsNSWは次のような評価を下しています。
①打撃を受けるのは問題とされているパピーファーム(いわゆる悪徳繁殖業者)ではなく純血統の犬や猫の繁殖を規律正しく行っている正規のブリーダーのほうである。
②正規のブリーダーにとってはこれらの規制により外部の血統とのアクセスが制限され、その結果犬種の存続が危ぶまれる事態となる。
③出産数が減ることで価格の上昇は避けられず、かえって闇ルートでの販売・購入が増え悪徳業者が扱う犬にますます需要が高まる懸念がある。
④結果、金儲けを企てる悪徳業者が増え想定外の逆効果をもたらす可能性が高い。
何とも否定的な評価です。どうも繁殖させうる回数や一人当たりの取扱い頭数制限が厳しすぎると評価していると思われます。確かに、頭数制限->販売価格上昇、これは必ず起きるはずですし、現状の世界的インフレに向かっている状況を鑑みるととんでもないことになりそうです。結果、闇ルートでの購入単価が安くなるのであれば(大量飼育で安価販売)、こられの指摘は的を得ています。動物愛護先進国の意地にかけて可決するかと思いましたが、どうもこの法案は否決されてしまいそうですね。
さて、我が日本ですが、オーストラリアのこの法案の評価を考えると繁殖や頭数の制限についてはそれなりの評価が得られそうです。日本で今年からの改正で飼い主側に最も影響がありそうなのが、マイクロチップ装着の義務化です。現在飼育されている犬・猫については努力義務とされるとのことですが、少しこのことについてふれておきます。
①マイクロチップは、生態適合ガラスで覆われています。生態適合ガラスは体内に入れても毒性や発がん性はないものとされ、骨の補修や人口歯根としても使用されています。
②料金は、動物病院への支払い(¥2,000~¥5,000円)と動物ID普及推進議会(AIPO)への登録料(¥1,050円)とのことです。
③無害とされているチップですが、まれに体内にいれるとアナフィラキシーショックを起こすことや以前に混合ワクチンとの組み合わせでの発がん性なども指摘されており、まだまだわからないところがあります。
一部、獣医業界への利権がらみを指摘している人もいるようで、引き続き調査してみようと考えています。
マイクロチップは災害時などの身元確認では威力を発揮するはずですが、それも読み取り機の普及状況次第でしょう。とにかく、実生活レベルでコロナ禍でますます大切となってきたペットとの暮らしを後押しする法改正になってほしいものですね。
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