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2022年07月号

アニコムの目指すもの~質疑応答編

2022年07月18日 11:06 by K-Tamaki
2022年07月18日 11:06 by K-Tamaki

ここからは質疑応答から見えてくるアニコムの今後について記者が感じたことをお伝えします。

着実な利益成長、上場会社である以上これは求められます。今、ペット保険業界は競合も増えてきており、同社としてはそろそろブレーク、新規展開を模索するフェーズにあると言えます。同社のペット保険のシェアは現在51%、そしてペット保険の普及率は日本国内ではまだ16%に過ぎません。目先の収益を上げることは保険に特化すれば可能です。例えば「保険料の安い」新商品の開発、様々な商品で値上げが続く昨今、これは重要なファクターでしょう。ただし、この点にかんして質疑からは単に価格の安さだけでシェアを維持・拡大するのではなく、独自の付加価値をつけて飼い主へサービス提供を行うという方向性を感じました。例えば、前章で触れた”きみのご飯”です。これは、対象となるペットの個々のDNA検査を行い、その子のDNAの特徴をみて、オーダーメイドの配合でのご飯を作り病気を予防する食事を提供するということです。

同社独自の付加価値、これについてキーとなりそうなものは①社員一人につき1つの特許取得をめざす、②ブリーディングサポート、③再生医療を含めた先進医療の提供、この3点だと感じました。当然、何名かの株主からこれらにいつて質問が出たことは言うまでもありません。では、順にみていきます。

ます、特許です。例としては「ペットの写真から将来の病気を予測する。すなわち顔写真からAIが健康年齢を読み取り将来の疾病リスクから保険料を算出する技術。」、これにかんしては特許取得済みとのことでした。現在、全社員からアイデアを募りイントラネットで登録、それを審査して特許出願しているとのことで、5月で33件出願、うち2件が特許取得済みとの回答でした。社員からの応募は5月で75名、グループで従業員1000名超えとのことですから、約8%弱が発明者かその予備軍とのことです。これらの特許、中には将来とんでもない収益を生み出すものがあるかもしれません。

次にブリーディングです。ペット業界ではショップ、ブリーダーは完全分業でしたが、ここ5年ほどでそれが生販一体の方向へと変わってきているとのことです。ショップからブリーディングへ、この流れはネットの発達も伴って今後ますます強くなって予測しているようで同社がブリーダーサポートに力をいれている理由です。

最後は、再生医療を含めた先進医療です。子会社、アニコム先進医療研究所、ここの研究が鍵を握っています。「ペットは近親交配が多く、それは意図的な遺伝子組み換えであり、それゆえに生命力が弱まっている。」これは社長さんの弁ですが、ここの研究はワクチン、フードと関連付けた遺伝子研究にとどまらず幹細胞を使った治療で若返りも可能!?、そんは話もありました。また、研究はまだ一つも上市していないとのことで、この研究成果次第では会社の業容は一変するかもしれません。ただし、これは逆に一つも物にならないということもあるので確信は持てませんが。

この再生医療関連、記者も最も関心を持っている分野に一つでしたので質問してみました。以下にその内容をお届けします。

質問1:コロナの次のパンデミックはサル痘といわれています。これはズーノーシス(人畜共通感染症)です。ペットから飼い主への感染となればパニックになりペット業界もかなりの痛手となるはずでが、その可能性は?また対処法はどう考えていますか?

質問2:再生医療分野でセルソースと提携しましたが、現状と今後の先進医療の展開は?コロナワクチンで話題となったmRNA、これは分子生物学の分野ですが、これらの分野も含めてどう考えているのか??

これに対する先進医療研究所の所長さんからの回答は、次の通りです。

1:あくまで個人的見解ですが、高リスクとは考えていない。リスク管理の対策としては抗ウィルス薬の開発です。抗ウィルス薬で複数の変異ウィルスに対処可能です。

2:現状では、例えばコーギーに特有の遺伝病DM(変形性脊髄症:痛みを伴わずゆっくりと進行する脊髄の病気で多くは8歳くらいで発症して後ろ足が立たなくなり車椅子生活になる病気)ですが、これは遺伝子検査で発症の有無の確率はかなりの精度で判明するので、両親の遺伝子検査でリスク低減をはかること、フードでの予防をはかることなどを行っています。これには保険金支払い削減効果もあります。再生医療については人で先行した技術(人の血液加工技術を持つセルソースとの提携がその例)を動物に応用する、そして将来的にはその逆、動物で成功した薬を人に使うことも考えています。分子生物学の分野も研究対象です。(確かに、金沢大学の論文だと記憶していますが、エクソソーム(細胞が出す微少な遺伝情報等伝達物質)をテーマにした論文も書いていました。)

どうやら最先端の研究も確かに行っているようで、日の目をみると凄いことになりそうですが・・・現在、同社の株価は低迷の局地にあります。当然、株価についても質問がありました。

では、最終章はその株価についてです。

 

 

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