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2023年02月号

ペット関連株個別コメント その4

2023年02月24日 10:41 by K-Tamaki
2023年02月24日 10:41 by K-Tamaki

では、最後は最も成長が見込める、NISAでの保有が最適であるはずの企業群ですが・・・トップを飾るアニコムが相変わらず冴えません。

アニコム 551円(2/22) 期間中の高値 630円(1/24)PBR 1.62倍

ですが、2/9には昨年来の安値である530円まで下げました。決算発表は2/7、売上対前年比+6.1%、経常同+8.5%の増収増益ですが、経常の対計画比進捗率は73.9%、加えて売上も対計画比△1.1%です。そして、第3四半期の3ヶ月間ですが新規保険契約件数が対前年△5%と契約獲得率が減少に転じました。これらから成長企業群にあっては完全に物足りない、との評価です。

 チャートはそれを見事に物語っています。1月後半までは日経とともに概ね回復基調をたどっていましたが、決算発表後に窓開け(前日の終値から値幅をあけて寄りつく)状態の大きな陰線を描いて急落しました。その後も即時に回復はできずに下値近辺でのもみ合いが続いています。記者は前年で株価底打ちと感じましたが、まだまだ早計でした。今回の物足りない進捗率も手伝って5日線に加え(デッドクロス)25日線も下降に転じチャート的には下値模索の展開です。

しかし、正味契約保険料収入は毎月3億円程度増加している、22年12月末までの特許出願件数は41件、そして社会貢献上という面では(ESG)ペット防災専用情報サイト「どうぶつ防災図鑑」を昨年12月にオープンするなど評価できる内容もあります。

ペット保険業界は新規参入組が増加、中には経営母体がしっかりしておらず保険金の支払い遅延等が発生しており金融庁が監視に乗り出しているとの情報があります。今後はペット保険業界での淘汰が進むことでしょう。アニコムは経営母体もしっかりしており、淘汰が進んだ後再びチャンスが訪れることでしょう。小森社長も「安い保険料設定ならば新規契約獲得は可能だが、当社は安易にそれに走ることなく、お客様へのサービス面を充実させていきたい。」とおっしゃっていました。新規契約件数が減少に転じたとはいえ、アニコムが業界での淘汰に生き残れるのは確実ですから、しばらく見守っていきたいと考えています。

2 日本動物高度医療センター  1,879円(2/22) 期間中の高値 2,021円(2/9) PBR 1.42倍

  

2/9発表の第3四半期決算、売上対前年比+30.7%、経常同+27.4%、経常の進捗率は78%です。初診数+5,809件(対前年+7%)、総診療数21,348件(同△0.1%)、手術数+1,718件(同+10.3%)、コロナ規制緩和による新規診療および手術件数の増加が業績に寄与しています。トピックとしては、大阪病院ですが機材等の搬入の若干の遅れにより(2月着工)、今年の5月開院となるようです。また前月号でも記載したように12月のファンドへの割当増資により資金を調達、2024年9月までには新しい病院開業の土地を取得する予定とのことです。候補地はまだ未公開ですが、現状から北海道、東北、九州の政令指定都市かもしれません。

チャートは見事に決算発表日に高値をつけています。しかし、発表当日に高値、前日も大きな陽線、さらに数日前も上ひげに長い陽線が出現・・・同社の決算発表は相場引け後の15時以降ですから、前月号で指摘した12月の割当増資の件といい、今回の決算といい事前に漏れてませんか??基本的にボックス圏の推移で肝心な日の前後で急進する株価はいったい・・・・内部統制に問題ありか?と疑ってしまいます。

 3 ペットゴー 1,100円(2/22) 期間中の高値 1,264円(2/8)

 記者一押しのNISA保有候補の銘柄でしたが・・・以下のチャートが物語るように残念な状況となっています。

決算期待で高値をつけたのが発表日当日の2/8、発表は引け後でしたから、これは明らかに期待先行でした。決算内容ですが、売上対前年比+7.2%、経常同162.4%・・これは評価出来る数値なのですが、通期の修正で開示した数値が経常222百万円。第3四半期実績では、286百万円の実績ですから第4四半期単体は、△64百万円の経常赤字ということになります。しかも開示資料ではその要因がD2Cブランドへの戦略投資としか書かれておらず、それは新製品開発費なのか?、広告費なのか?、優秀な人材確保のための人件費等なのか?具体的な内容が明確にされておりません。いくら説明資料で実績ばかり強調しても今後の成長性を明確に伝えなくては投資家には評価されないのです。同社に関しては記者の調査不足でした。今後、総会出席などの機会があれば情報開示姿勢について問うてみることにします。

チャートはこの評価を明確に物語っています。2/9に窓開けで急落、その翌日も陰線で下落しています。ただ、3営業日からは反発、陽性が多く、しかも日経急落の22日も下落したとは言え陽線引けとなっています。25日線もまだ上向きであり、依然として動物療法食が提供出来るオンリーワン企業であることは評価されていると見ます。また、本決算にたいする期待も残っているのでしょう。記者は見事に一部を売り損ねましたが、NISAで継続保有しています。

同社は、21日にベッツワンベテリナリーPhケアシリーズに新製品発売のニュースリリースを行っています。これは、犬猫の下部尿路疾患用に特別に調整された療法食であり結石が出来にくい(特に猫は尿路疾患が多い)とのことです。さっそく新製品の発売を発表しており、まだ今後の成長期待は残るといえましょう。

 

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