ここ1週間ほどで起こった株価下落の概況を記者なりにまとまてみました。
10日、日本ではほとんど名も知られていない米地銀のシリコンバレー銀行破綻に端を発した金融不安、その後スイス大手のクレディスイスの危機もとりだたされ世界の株価は一直線に下落です。記者は、1月号で本格的な金融恐慌突入はないと書きましたが、(その考えは変えてはいませんが)少し注視すべき状況となってきました。今回の下落の原因はインフレ抑制目的に米国中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)が行った急激過ぎた利上げにあります。はっきり言って政策ミスです。
その構図は、FRBの急激な利上げ(もう少し早く利上げに着手すべき、遅れた分急激すぎた)ー銀行保有の債券価格の下落(金利上昇)ー債券評価替(評価損計上)による利益圧迫ー経営不安を恐れた預金流出(主要株主の保有株売却)です。そして投資家は疑心暗鬼になり銀行株を売り、その売りがさらなる不安心理を助長します。
これで米地銀の株価が暴落して一気に金融不安が台頭しました。17日(日本は18日)米地銀の破綻候補ファーストリパブリック銀行にJPモルガン、シティ、バンカメ、ウェルズファーゴの4大銀行が預金預け入れ(一定期間引き出さない確約)、クレディスイスへはスイス中銀が貸付、これで一度落ち着いたかに見えましたが、18日、ファーストリパブリックの株価は再度3割以上下落しました。投資家の疑心暗鬼は止まらず、このまま株価下落でファーストリパブリック倒産となればJPモルガンなどの大手にも影響が及びます。特にバンカメは危ないという噂も・・・大手に飛び火すれば、さすがにまずい状況になってきます。
またクレディスイス、ここが倒産となれば確かにリーマン以上の金融危機となることでしょう。最新のニュースではスイスの同業UBSがクレディスイスを買収という情報もあります。欧米の当局も金融危機を避けるべくさらに手を打ってくるでしょうから即倒産とはならないでしょうが、今しばらく注視する必要があるでしょう。
来週は米国の金利政策を決めるFOMCもあり、ここでまた利上げとなると一波乱あるかもしれません。そして、日経にも書かれていましたが日銀の保有債券の含み損が9兆円に達したというニュースもありました。邦銀でも債券運用は積極的に行ってきたはずですから、当然含み損拡大の影響は今後でてくるでしょう。日経平均もまだ一段下げの可能性もありますが、ここは欧米の政策対応や市況を観ながら嵐の過ぎ去るのを待つしかありません。そして、金融恐慌へと続いていくか否かを判断するのは今回の嵐が一段落してからです。リーマンショックの際もその前にベアスターンズ危機があり、これを米政府が救済して落ち着いたかに見えましたがその後にリーマンが破綻で世界的な金融危機が起こったのです。今回もこの嵐が過ぎ去った後にどのような影響があるかを見極めてからでしょう。
気になるのは、今回もリーマンの時と同じく破綻した銀行の経営層は先んじて持ち株を売り抜ける、報酬を受領するなどインサイダー取引(モラルハザード)を行っていたことです。バイデン政権は該当者に懲罰を与えようとしていますが・・・一連の問題がどう決着するか、またその後の影響が心配です。
以上がここ1週間の概況と記者なりの見解です。次章で本題のペット関連企業情報といきましょう。
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