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2014年12月号 vol.2

研修のツボ1 動物愛護法関係

2014年12月23日 22:26 by K-Tamaki
2014年12月23日 22:26 by K-Tamaki

 動物愛護法は、第1章総則(第1条~第4条)、第2章基本指針等(第5条~第6条)、第3章動物の適正な取り扱い(第7条~第34条)、第4章都道府県等の措置等(第35条~39条)、第5章雑則(第40条~第43条)、第6章罰則(第44条~50条)の6章、50条から成り立っています。

研修では、このなかで重要なポイントをリーフレットにまとめて、スライドを使いながら講師の方の説明を受けることになります。

まず、第一種動物取扱業はその業態別に①販売、②保管(ペットシッター、ペットホテル、動物を預かる美容業)③貸出(ペットレンタル、タレント・モデル等)、④訓練、⑤展示(動物園、猫カフェ等)、⑥譲り斡旋(オークション)、⑦譲り受け事業(老犬・猫ホーム)の七種類に区分されており、それぞれの種別ごと、事業所ごとに登録が必要となります。

これを前提として、研修の内容は、1)それぞれの種別ごとの登録の基準と申請書類の書き方、2)それぞれの種別ごとの遵守事項、3)罰則、4)その他(第二種動物取扱業と狂犬病予防法)に大別されます。

1)の登録と申請方法については、まず、登録は5年ごとの更新が必要(第13条)ということのみ触れておくこととして、ペットシッターが該当する「保管」にフォーカスして後で詳しく書きます。この章では、2)遵守事項以下の項目についてまとめてみます。

 

  遵守事項として全ての種別に共通に、①標識の提示、②広告に必要な記載事項、③台帳類の記録と保管、④感染症の疾病予防、⑤動物の取り扱いが困難になった場合の譲渡し等があります。①と②は、全ての顧客に、また事業所ごとに、1.氏名または会社名、2.事業所の名称、3.事業所の所在地、4.第一種動物取扱業の種別、5.登録番号、6.登録年月日、7.登録の有効期限の末日、8.動物取扱責任者氏名、の8つを明示しなければならないということです。ここで注意すべきは、これらの事項はブログ、HP上にも記載しておかなければならないということです。これらの事項がブログまたはHPにきっちりと記載されているか否か、これはお仕事を依頼するペットシッターを選ぶ際に重要なチェックポイントになるはずです。

 預かりを行わないペットーシッターの場合は、とにかく業務中に動物を危険にさらさないこと、健康管理をきっちり行うこと、という極めて常識的な内容が順守義務となります。これは、動物愛護法では、「第一種動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生じることを防止するため、その取り扱う動物の管理の方法等に関し環境省令で定める基準を遵守しなければならない(第21条)。」と規定されています。

参考までに、その他の種別では、販売、貸出、並びに展示について、午後20時以降から午前8時までの時間帯は、その業務を行うことは禁止されています。また出生後56日以内の犬猫の販売・貸出・展示も禁止されています。午後20時以降もショーケースで子犬・子猫を展示して販売している業者や生後1か月の子犬・子猫を販売しているケース等は、違法となるのです。特に、販売の場合には、現物確認と対面説明が義務付けられるようになりました。つまり、ネットのみの販売は、認められないということになったのです。また、販売する動物にはすべて①品種、②成熟時の標準体重など身体の大きさ、③性別、④生年月日、⑤生産地、⑥所有者の氏名(販売業者の自己所有でない場合)の書面による記載が義務付けられています。さらに業者には、購入者がこれらの書面を受領したことの確認も求められているのです。これから、子犬・子猫を購入しようとしている方は、是非このことを覚えておくと業者選択にも役立つはずです。

  

 次に、台帳に関してですが、全ての種別に必要となるのは、「取引状況を示す台帳」となります。当然のことですが、販売の場合には、「販売実績台帳」、また飼養施設を有する場合には、その施設の「点検台帳」が必要となるのですが、ペットシッターの場合は、次のような「取引状況台帳」のみで十分です。

 

 ここで、「登録番号」および「相手方の関連法令遵守状況」の記載についてですが、これらは、ペットシッターの場合は取引の相手方がほとんどは個人(一般家庭)となるので不要と思われがちです。しかし、当局への報告、または当局による立ち入り検査となった場合には必ず台帳の提示が求められ、その際に当該欄があれば、それすなわち法令遵守であり、「万が一の備え」のために欄を設けておいて損はありません。尚、この台帳は5年間の保管が義務付けられています。

 

 感染症の疾病予防(第21条の2)にかんしては、①動物の健康状態を日常的に観察・確認すること、②必要に応じて獣医師の診療をうけること、③動物の感染症予防のために必要な措置を適切に実施すること(ワクチン等)を心掛けなければならないということです。

飼養施設を有している場合については、感染症の疾病予防とあわせて、その遵守事項にかんして詳しく説明を受けます。飼養施設は、十分なスペース、餌、水の確保などを適切に行ったうえで、衛生面にも注意しなければなりません。狭いゲージにたくさんの動物が閉じ込められていてかわいそう、ホテルに預けていた愛犬を逃がされてしまったなど実際にセンターに寄せられた苦情の実例も合わせて紹介しながら設備と動物の適切な管理についての説明がなされます。

 最後に動物の取り扱いが困難になった場合の譲渡等(第21条の3)についてですが、これは、廃業などで事業が継続不可となった場合にその譲渡先を確保しておくなど、適切な措置を行うように努めなければないないということです。しかし、最近の小型犬の大量遺棄などの悲しいニュースは後を絶ちません。次章で触れますが、罰則はそれほど重いものではないこともあり、各位の良心・モラル頼みというのが実情ですね。研修における説明もそれに準じたものでしたが、「どうしても殺処分しなければならなくなった場合、できるだけ苦しまない方法で・・・」という件がありました。

 

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