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2015年10月号

知っておきたい法律知識~これは、役に立ちます!

2015年10月10日 17:58 by K-Tamaki
2015年10月10日 17:58 by K-Tamaki

 善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)、この言葉を聞いたことがありますでしょうか?

後半では、動物取扱に係る法律として、刑法、廃棄物の処理及び清掃にかんする法律、民法、そして消費者契約法の関連条文とトラブル例の紹介がありました。

その中でのキーワードの一つが、この善管注意義務です。これは、「善良な管理者として通常期待される義務」、すなわち、業務を委託された人(ペットのお世話を任された人)に対して、その職業や専門家(ペットシッター)として通常期待される義務のことです。つまり、任された仕事を遂行する場合にペットを取り扱うプロとしての注意を怠ってはならないということです。

例えば、出張で2週間の留守となる飼い主から留守中の犬の世話(ペットシッター)を依頼されたケースで考えてみましょう。

このワンちゃん、普段はおとなしく滅多に吠えない、愛想のよいワンちゃんです。シッターを任されて数日は問題なく過ぎました。ところが、1週間を過ぎた頃から、何が気に入らないのか、訪問すると吠えて吠えて吠えまくる!お世話の最中も、お世話が終わってからも数時間吠えまくる!結果、ご近所から苦情が・・・・さらにあろうことか、暫くして飼い主さんが、最近引っ越してきたご近所さんから泣き声がうるさく精神的苦痛を被ったとして訴えられた。

この場合は、シッターさんの善管注意義務違反としての責任が問われます。原因が分からなくとも、自分に落ち度がないとしても、ペットシッター(ペットを取り扱うプロ)として、留守中の飼育上の注意を怠った結果、近所迷惑をかけたとされるのです。(民法第644条)

もう一つ、ペットを売る側、買う側双方からみた例が紹介されました。ここでは、消費者契約法がキーとなります。

貴方(一般消費者)は、あるペットショップから子犬を購入しました。ショップでは、「この子犬は、必要な検査をしているので病気の心配はありません。」と口頭で検査内容を説明し、また契約書も交わしました。その書面には、「必要な検査を行っているので販売後の病気により生じた損害については、当ショップは一切責任を負わない。」と書かれていました。しかし、家に迎えてから1週間後、その子犬は体調不良で獣医に見てもらったところ、重大な病気にかかっていることが判明しました。

さて、この場合に貴方はペットショップへ損害賠償請求(医療費の請求等)できるのでしょうか?

答えは、Yesです!。消費者契約法は、消費者保護のための法律です。この契約で、「・・・一切責任を負わない。」との記載は消費者契約法にてらして無効となります。「事業者の債務不履行(消費者が、健康な犬を飼うことができなかったこと)により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項は無効とする。(消費者契約法第8条1項1号)」がその根拠となります。これからペットショップでの購入を考えている方も知っておくといい法律知識ですね。

しかし、購入者が一般消費者ではなく、ペット関連の事業者である場合は、売り手はこれで十分、買い手は損害賠償等は出来ないとのことなので、注意が必要です。

 

法律用語は、とっつきにくいものですが、このような研修なら歓迎ですね。動物愛護相談センターの職員さんも、この研修は評判がよかったとおっしっていたのが印象的でした。

 

 このページの「問6」が法律知識の問題です。(研修終了後に配布された確認テストの解説より)

 

 

 

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