動物愛護センターの譲渡事前研修でも配布される「いぬ ねこ手帳」の1ページです。予防方法と代表的な感染症がリストされています。
「口移しや食器の共有をしない」とあります。食器の共有はさすがにしている人は少ないと思いますが、ベッドで一緒に寝ていたり、よく顔を舐められる(舐めさせる)などのスキンシップをしている人は多いのではないでしょうか。それでも十分に感染の可能性はあるといえるのでしょうか?これもK先生に聞いてみました。
記者:口移しでご飯をあげるなどの濃厚な接触は少ないにしても、(ペットと)一緒に寝る等の軽度なスキンシップをしている人は多いのですが、この程度なら大丈夫でしょうか!?
K先生:そうですね。健康な方でその程度なら過度に心配する必要はありません。ズーノーシスは、狂犬病などの命にかかわるものを除けば、日和見感染(ひよりみかんせん)的なものも多くあります。免疫抑制剤を服用している方や、子供・高齢者には危険ですが、一般の健康な人なら(自己の免疫力のお蔭で)感染しても症状がほとんどでない人もいれば、軽い症状ですむ人もいます。ただ、注意を怠ってはいけません。犬・猫に引っかかれた場合などは、症状がなくても主治医に相談することをお勧めします。その際には、日頃のペットとの生活状況(一緒に寝ているなど)も合わせてお話ください。
注)日和見感染:通常は病気を引き起こさない細菌(健康な人では、例え感染しても症状もでない、あるいはその人の免疫力で駆逐されてしまう細菌)が、がんなどの重い病気や臓器移植などで免疫抑制剤を服用しているなどの理由で免疫力の低下している場合に病気の症状をひき起こすこと。
記者:なるほど、それなら大丈夫ですね。
K先生:安心しすぎるのも考え物ですね。適切な治療を施さないと稀に重篤なケースに至ることもあるので、自己判断せずに(犬・猫に引っかかれたなどのケースは)医師にかならず相談してください。
記者:ありがとうございました。参考になりました。
最近、流行したエボラ出血熱、SARSなどもズーノーシスの一種だと言われています。そして、ズーノーシスには、まだまだ未知の病があるともいわれています。
健康な(正確には、メタボ予備軍等でもそこそこ健康な)人は、過度に心配する必要はなさそうですが、ペットと暮らす人は、ズーノーシス感染の可能性については、常に頭の片隅においておいた方がよさそうです。貴方が、私が、世界初のズーノーシスの症例にならないためにも!
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