まずは、記者の問い合わせと、それに対する回答を原文のまま記載しますのでご覧ください。
問い合わせ)3.報道されたアビガンの治験等の現状と将来性に関してお尋ねしたいと存じます。素人考えで恐縮ですが、アビガンはRNAに入り込み増殖するバイルスの増殖酵素複写阻害剤と認識しています。従って、バイルスの変異にも対処可能であり、他の既存の治療薬よりは効果が認められると考え、期待しております。しかしながら、厚労省等のブリーフィングでは、その成果はほとんど伝えられておりません。現状は、どのような状況であるかご説明願えれば幸いに存じます。
回答) 日本政府が主導で行っております観察研究の状況について、当社はお答えする立場にはございません。 当社のグループ会社である富士フイルム富山化学株式会社が、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の患者を対象としたアビガンの国内臨床第Ⅲ相試験を、3月31日から開始しました。今回の国内臨床第Ⅲ相試験で、COVID-19患者を対象に、アビガン投与時の治療効果と安全性を確認していきます。
と、まあ当たり障りのない回答でしたが、これではすでに周知の事実なので少し独自に調べて補足します。
(アビガン錠剤:画像はネットより拝借)
国内第Ⅲ相試験(フェーズ3:実際に治験希望者を募り実施する人間への投与試験)の被験者は、20~74歳の非重篤症状を呈する患者で期限は7月末まで、とのことです。そして、政府からの要請を受けて3月上旬より増産に着手したとのことでした。また、同製品の特許は中国など海外では失効しているが、日本国内では2024年まで有効だそうです。
アビガン、インドネシア政府は3月20日に200万人分をすでに発注済、ドイツも発注済で重篤な症状を呈する患者にも投与するようです。さらに、イスラエル、米国でも治験を開始するとのことです。日本政府も外交ルートで30か国への供与を発表していますが、これは無償供与する代わりに治験データを得るためのようです。
中国は、なんとアビガンの効果に関する論文を取り下げてしまったようですが、その内容は、他の試薬を使ってケースで検査陰性まで11日要した日数が4日に短縮された、肺炎症状がある患者への投与では2週間で91%の患者が症状改善、との報告がなされていました。これらの効果は、2014年の英国の治験でも同様のものが得られています。
他にもレムデシベル、カレトラなどが治療薬の候補として上がっていますが、現状ではアビガンが有効な治療薬候補一番手のようで、世界はその認識で治験を進めています。早ければ8月には全国の医療機関で処方される予定で進んでいます。富士フィルムの業績には、あまり寄与しないとのことですが、(業績は二の次で)是非実用化までこぎつけ、今回のコロナショックから世界を救ってほしいと切に願ってやみません。
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