質疑の内容は例年代り映えしません。
会社の目指すところは、①病院の新規開設、②その全国展開により高度医療のサービスを提供すること、これのみに重点を置いているようです。
記者は毎年、資金も人材も大量に必要とする病院開設にこだわるよりは、まずは遠隔地医療やオンライン診療で間口を広げることが先決、その後に病院の新規開設と全国展開を目指していくほうが効率的では!?と訴えてきましたが、どうやら聞く耳持たずといったところのようです。毎年、今後検討していくとの回答を繰り返すのみです。
対処すべき課題、総会招集通知の中で記者はいつもこの箇所に注目しています。今年は「オンラインも活用・・・」、「飼い主や一次診療施設へのサービス提供に努めつつ・・・」などの文言がありました。また、事業計画では私たちが利用する動物病院の獣医さん(一次診療施設)が希望すれば手術や治療の見学も実施とも謳っています。しかし、一次診療施設へのサービスにおいては、様々な情報提供でサブスク収益が得られるように工夫しているというのではなく、①民間で大学病院レベルのサービスを年中無休で提供していること、②専門分野の獣医とのコミュニケーションがそれとの回答でした。そして、連携病院である認定証書を発行することで飼い主から安心感が得られるのだそうです。
飼い主へのサービスという点では、対面での意思疎通を重視して信頼関係を構築することとの回答。ここで愛猫がリンパ腫で入院、お世話になったという女性から、入院中面会時間は20分程度に制限され予約も取りずらい、それならば入院中の様子をオンラインで配信するなどのサービス提供を提案されていましたが、獣医師がモニターで観察できる見守りシステムは構築しているが、配信サービスは検討したものの実施にはいたっていないとの回答です。ここでもう一工夫してくれれば・・・飼い主からの口コミで認知度も広がり、ひいては人材獲得の道も開けると考えるのは私だけでしょうか??
同センターのHPからみられる画像診断の子会社キャミック、施設のバーチャルツアーはできるのですが・・・リンクはこちら→キャミックツアー
このキャミックだけでもまず全国展開する気はないのか?、この問いかけにも、対応可能な領域が限られ簡単ではない、現在検討中との回答でした。
対面重視で心のこもった診療を!それは大事なことです。しかし、設備の整った病院の開設は5年に一度、このペースでは全国展開、そしてアジアに進出などは先の長い話です。大阪病院は今年2月に着工、来年3月に開院とのことですが、ここでもまだ人員は募集中のようです。果たして間に合うのでしょうか?
会社のめざすものは大いに共感できるのですが、それに至る工夫が足りない気がします。長期目線は大切ですが、上場した以上目先の収益も大事です。株主の建設的な提案にも検討中と答えるのみでは、昨年のように個人の大株主の方から社長辞めろと言われてもしかたありませんね。
本章の最後に記者の質問内容とその回答を記載します。
①次のパンデミックはサル痘と言われているが、これはハムスターなどの齧歯類を宿主とするウィルスによる人畜共通感染症です。変異して人→犬・猫→人の感染経路をたどることになれば、大変な事態になると予想できる。獣医としての現状の見解は?→情報不足でわからない。
②今期初めて手術件数が減少に転じたがその要因は?、また血液内科を新設したこととの関連、将来的に内科的治療をより重視するのか?→コロナ下で手術を先延ばしにしたことが影響している。傾向としては積極的に手術を選択していないという印象はあるが・・・血液内科は専門を設けているところが少ないため新たな展開として新設した。
他には飼い主への術後のケアをオンラインで!などの提案にも回答は前述の通りでした。
次章では同センターの展開について考えてみたいと思います。
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