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2023年07月号 vol.2

記者の懸念は払拭された?

2023年07月08日 17:29 by K-Tamaki
2023年07月08日 17:29 by K-Tamaki

今年の総会は社長さんの語りはなく、いきなり中期経営計画の進捗状況を含めた報告とそれらに関する質疑からとなりました。

総会配布の資料からも好業績が継続していることがわかります。加えて、今後の配当方針についての説明がありました。上記の表にもあるソルベンシーマージン比率(単体SMR)、これは保険会社の支払い余力(想定外の災害発生時に対応出来るか否かも示す)指標で通常200%以上が健全とされています。アニコムの会社目標値は320-373%、これを上回ったため増配を決めたそうです。また、これを基に計算した今後の配当&自社株買い余力は30億円あるとのことでしたので、今後も増配や自社株買いは期待できると思います。

他には①フード事業でのシナジー効果による今後の売上増、②ブリーダーチャネルに注力、③動物健活での独自のサービス展開、④従業員一人1特許取得を目指す、⑤社会貢献、動物愛護への貢献などの実績・進捗状況の説明などがありましたが、記者の関心はまずはこれ、プライム市場上場基準適合状況です。早速質問してみると、3年前には株主数減少で上場基準未達であったが、株式分割により1万名以上に増加、現在は完全に基準はクリア出来ているとの回答でした。

次に懸念されること・・・それはアイペット同様に大手保険会社等によるTOBの可能性です。これは、別の株主の方との次の質疑から察することができます。

問)アイペット買収によって第一生命が、また日生もペット保険に 参入してきている、競合が増えています。これらの競合会社から大資本をバックに広告などで攻勢をかけられたら今後どう対応していくのか?また現有契約への影響は?

回答)現状、保有契約の面では変化なしです。アイペット、日生などの(ペット保険)参入直後は確かに当社からの移行による契約数の減少はありました。が、暫くすると当社と再契約、戻ってくる傾向があるのです。(記者は裏取りはしていませんが)日生は顔写真はあるのですが保険証として使えないから(事後請求)が主な要因とみています。

「どこもアニコムを超えていない!」社長さん、時々質疑の途中で割って入り熱く語り始めます。

余談ですが、「総会のライブ配信」のリクエストもありました。社長さん曰く、ご自身のこの熱弁がライブ配信には不向き(?)とのことでしたが・・・

ペット保険のパイオニアとしての地位は揺るがない!、この質疑からはその自信が感じられました。確かに保険契約の伸びは継続しており、今のところアイペットのようなTOBによりどこかに吸収合併の後上場廃止へ、この心配はなさそうです。とりあえず、今回の総会から①プライム上場基準に抵触、格下げか上場廃止、②大手保険会社に吸収合併される可能性、これら記者が懸念していたものは払拭されたと感じました。

アニコムの主な販売者チャネルはペットショップ(約7割とのこと)です。ここに海外投資家から見た課題があるという話題もありました。動物愛護の観点からフランスではペットショップでの販売は既に全面禁止、ニューヨークも今年12月から全面禁止となるようです。海外投資家から見ればペットショップ販売が主力の日本は異質に写るのでしょう。ペットショップでの生体販売の縮小あるいは禁止、この流れは日本でも何れ本格化してくると思われます。では、今後はどう対応していくのか?

ここで突然、社長さんが引き合いに出したのが、彼のイーロンマスクの電気自動車メーカーテスラ。そのテスラ保険では安全スコアから日々保険料率を変えて保険料を計算する、こんな試みもあるようです。被保険者の健康度合いによって日々、いや月次で保険料を変える?それはなさそうですが・・・

その後にこう続けます。

「どこの業界も相互に関連(依存)している。ならば、ペット業界は他の業界にたいしてどのような貢献が出来るのか?第一に我々は生命とは何かを伝えるのが使命と考えています。私たち命ある物は互いに依存しており、ペットとの生活を通じてお互いの大切さを認識して、いかに文明が発達しても人間らしさ、優しさを失わずに命の大切さを子供たちに伝えていくことが使命だと考えています。」(意訳ですが記者はそう言いたいと感じました)

「過去に果たした使命の一つにコーギーの遺伝病である変性性脊髄症(神経症状から呼吸器系の麻痺が進行して死に至る病気)の撲滅があります。この病気は遺伝でありブリーダーは(その子が)発症するか否かはわかっています。遺伝子検査をおこなうことで交配からこの病気を予防、ペット業界一丸となって2021年4月に撲滅宣言を行うに至りました。」

そして他業界への貢献と意味でも、オーラルケア製品を持つアース製薬との口腔ケアでの共同研究を行いペットも人も健康になる事を目指す、「入って健康になる保険」、これが今年の目標となるようです。詳細並びに質疑応答後半については次章でお届けします。

 

 

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