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2023年07月号 vol.2

入って健康になる保険?、アニコムの今年の戦略

2023年07月08日 17:38 by K-Tamaki
2023年07月08日 17:38 by K-Tamaki

では、ここから後半、今後の施策についての説明と質疑応答についてです。

アニコムは重点施策として川上(生まれる前)から川下(社会問題の解決と貢献)を掲げています。

遺伝子データ解析に強みを持つアニコム、それを基に適切な交配により遺伝子継承を防ぐことで先のコーギーの遺伝病撲滅に一役買っています。そして、この施策でいう川中(治療)の前段階、(人とペットのモチベーションに働きかけ)効率的な病気の予防に注力しようという試みが今年の重点施策とのことです。そのターゲットは歯周病です。犬猫の口腔内Phは7-8。実は、アルカリ性(アルカリ性>7、酸性<7)ゆえに生まれた時から既に歯周病に罹患しているそうです。

さらにデータでは、歯周病に罹患している犬は健康な個体と比較して心臓病発症の確率が4倍、腎臓病は5倍、同じく猫でも3.1倍(心臓病)と3.5倍(腎臓病)に跳ね上がるということです。心臓病など重大疾患の予防には、歯周病の予防がその第一歩!、そしてそのためには口腔ケアが大事なことは言うまでもありません。ペットで出来ることは人でも出来る、ペットと一緒に歯磨き、口腔ケアに務めるモチベーションを高めて健康を維持しようという試みです。ペット(アニコムの研究データをベースに)と人(アース製薬のデータ)ともに口腔ケアの意識を高めて万病のもとになる歯周病予防に努めようということですね。

さらに「きみのごはん」など腸内ケアにも効果のあるフード販売もセットで行う戦略です。「犬猫も毎日違うご飯を食べるのがいい(同じだと飽きるという意味ではなく)!」、社長さんこうおっしゃってました。

予防型保険、以前からアニコムの目指すものとして総会で語られていました。予防型保険とは謳っていませんが、「保険に入って頂いた方にはアニコムの持つ多くの情報を適時お知らせすることでペットも人も歯周病予防や口腔ケアのモチベーションが高まり健康維持に一役買えるはず」、そして「あなたのペットが満足するご飯もあわせてご提供!」、これが今年の施策といえるでしょう。

フード販売にも注力、これには早速、株主の方からの質問がありました。①在庫を持つことのリスク、②ナショナルブランドが強い中(後発組としては)どう対処(どのような売り方)をするのか?との質問です。

回答は、実はペットショップではフードは全く売れなかったのですが、今後は動物医療データ、ナウハウを生かした個体別に最適なフード(オーダーメイド)の販売などを数社のパートナー企業と協力していくことで在庫リスクを減らして対応していく(もちろんブランド力も上げる試み)とのことでした。

他にはコロナ渦で通院頻度が上がり保険支払額も増えたと思うが現状と今後の対応はどうか?との質問もありました。回答は、次の通りです。①コロナ渦で月平均1回から1.5-2回に通院頻度は上がり保険の支払額(損害率)も若干の右肩上がりです。②今後もインフレによる受診料の上昇は継続すると予想され、対策としては一部で保険料の値上げを考えています。

もちろん、記者も質問しました。内容は、①ペットテックをフード販売などをからめてどう取り入れていくか?他社との提携は?、②災害対応で果たすべき社会的使命とペットショップの役割についての考えは?です。

回答)①現在のペットテックは生活データ(食事、排泄など)の解析による健康改善のアドバイスが主流となっているが、当社はその前段階、予防のためのデータ分析の側面から取り組んでいきます。データ解析には海外の投資家と組んで行う事を考えています。(アニコムは膨大な遺伝子データがあり、この面では一日の長があります。これは今後が楽しみかもしれません。)

②災害支援の実績としては、静岡土砂災害で被災した犬32等を救助保護、ウクライナへのペット支援募金プロジェクトを実施、56百万円を寄付などの実績があります。ペットショップでの生体販売は無くなる傾向があり、今後は地方で生まれたペットを都会のペットショップで引き渡す、あるいは飼い主とのお見合いなど”展示”ではなく、他の分野での貢献となるでしょう。またご飯をあげる、出産に立ちあう、一緒に遊ぶなど子供への命の大切さを教える体験、学びを提供する場所へと変わっていくと考えています。(ペットショップの災害時の社会的使命は被災者へ備蓄品の提供だと思い、記者はそう指摘したのですが・・・ショップのこれからの役割としてはこの回答もありですね。)

以上が記者の感想も含めた総会内容の概略ですが、3名の質疑で既に2時間近くが経過、ここで質疑応答は打ち切りとなりました。今年は冒頭での社長さんの語りがなかったのですが・・・質疑の途中で(社長さん)喋りすぎです!参加者は20名を超えて昨年より若干増えており、もう少し他の株主の質問も受け付けても・・・と感じたのですが、社長さんの作戦(?)でしょうか・・・少しやられた感がありました。が、ともあれ、今年も中身のある総会だったと思います。

 

 

 

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