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2023年12月号

爬虫類からも感染する人畜共通感染症(ズーノーシス)

2023年12月11日 10:54 by K-Tamaki
2023年12月11日 10:54 by K-Tamaki

カメを始めイグアナ、蛇などをペットとして飼育している方を時々見かけます。人畜共通感染症というとすぐ頭に浮かぶのは犬・猫、ハムスターなどの齧歯類ですが、カメなどの爬虫類からの感染にも注意すべきものがあります。

1)感染経路

まずは、①噛まれる、引っかかれるなどの直接感染、それに加えて②ダニ。蚊、ハエなどの媒体(ベクター)を介して間接感染、さらには③病原体で汚染された床材や飼育水からの環境感染があげられます。

2)感染症の原因

これは人や他のペットと同様、①ウィルス、②細菌、③真菌、④寄生虫によるものです。この中で爬虫類のウィルス感染症についてはまだよく分かっていないことが多く、何かいつもと様子が違う場合には他の個体と隔離して(安易に触れないようにして)早めに獣医師に相談する事が重要でしょう。

カメへのウィルス感染例:ヘルペスウィルスーリクガメの壊死性口内炎を起こす。水生種では肝壊死などの非特異的症状を呈する。

イリドウィルスー膵炎・肝炎・腸炎などの原因となる。

ヘルペスはトカゲでも口腔内出血の原因となることもあります。また良く耳にするアデノウィルスはトカゲなどの種の突然死の原因となったりします。

 3)特に注意すべき感染症(人での症状など)

①サルモネラ症

カメからの感染事例が報告されています。代表的な症状は胃腸炎ですが、髄膜炎など重症化するケースもありこれらに伴う死亡事例も報告されています。子供や高齢者の感染事例が多く報告されています。そして厄介なのが、カメを始め爬虫類ではサルモネラ菌に感染していても無症状だという点です。対策としては、(飼育しているカメなどは)サルモネラ菌の保菌者である事を念頭に高齢者、4歳以下の子供は直接個体に触れさせないようにすることです。

②ミコバクテリア(Mycobacteria:非結核性抗酸菌)

爬虫類では、急性から亜急性の肉芽腫性抗酸菌症(肉芽腫:皮膚に出来る炎症性の赤い発疹、放置すると潰瘍やかさぶたになる)を引き起こします。免疫力の低い高齢者、子供の感染事例が報告されています。人では、プール肉芽腫ともいわれカメなどが感染してる場合、水槽の清掃などから皮膚の傷を介して感染するケースがあります。サルモネラ症と異なり、爬虫類にも症状がでるため予防はしやすいですが、人が発症すると異物への反応による炎症(アレルギー反応)、皮膚がんなどと見分けが付きにくい場合もあり、症状が長引く場合は注意が必要ですので皮膚科の医師に相談してください。

③連鎖球菌、ブドウ球菌

爬虫類は口腔内に保有しているケースが多く(無症状)、人では発疹、かさぶたと伴う皮膚炎、咽頭炎(のどの痛み)などの症状を呈します。まれですが、肺や心臓弁膜へ感染して重篤な症状を呈する場合もあります。これは、とにかく噛まれないように注意することです。

④ダニ媒介性リッケチア

人では発熱、頭痛、倦怠感などの症状を呈します。アフリカから輸入されたリクガメに寄生していたマダニから見つかったとの報告があります。マダニが媒介する感染症にはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という怖い病気がありますが、リッケチアも感染した血管に血栓を生じさせる厄介な病原体のようです。ただ、感染事例は多くはありません。高齢者や4歳以下の子供は直接個体に触れさせない、お世話の後は恒に手洗い消毒を心掛けることで予防出来るでしょう。

⑤その他

爬虫類に寄生する寄生虫には原虫、回虫、クリプトスポリジウム、コクシジウムなどがあります。クリプトスポリジウムやコクシジウムはカメレオンやヒョウモントカゲなどで下痢下血を起こすことが多く、人でも下痢などの消化器系症状を起こさせます。犬・猫や家畜などにも共通する感染症として知られています。

これらが代表的な爬虫類からの共通感染症ですが、過度な接触を避ける、手洗い・消毒(噛まれた時のために消毒液は常備)などの励行で十分に防げると思います。

記者は子供の頃、近所で捕まえたカメを飼育していました。しかし、その時はこんな感染症については全く知識もなく、思い出せば、けっこういい加減な飼育をしていた気がします。それでも感染することもありませんでしたが、何やら訳の分からない流行病が多い昨今、過度に警戒する必要はありませんが知っておいて損は無い!、そう思い今回は記事に取り上げてみました。

 

 

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