愛玩動物看護師は、これまで獣医師にしか出来なかったペット診療における「診療補助」が正式に出来るようになります。(免許登録制、早ければ来月より)具体的には、獣医師の指導監督下で行う採血、投薬、輸液、マイクロチップの挿入、カテーテルによる採尿などが想定されています。診療対象は疾病・負傷した犬、猫、そして文鳥やインコなどの愛玩鳥です。私たち飼い主側からみれば、4月から看護師さんが採血や輸液点滴などをしてくれる光景が普通にみられるでしょう。
一方で採血などはできますが、レントゲン撮影(身体を固定する保定行為は可)やワクチン投与、手術などの動物の身体への影響が大きい医療行為は出来ず、引き続き獣医師のみが実施することができます。
この資格、農水省と環境省が中心となって検討・法整備を進めてきたものですが、検討過程で議論された中に気になるものがありました。それは①手術における麻酔時のモニター管理や獣医師の具体的な指示に基づく麻酔量の調整、②救命救急業務として獣医師に指示に基づく心肺蘇生措置、が検討過程で医療補助業務としてあげられていたことです。
心臓マッサージなどは講習を受ければ私たちでも十分可能と思われますが、麻酔の管理は人間でいえば麻酔医の専門分野、今回公にされている対象診療業務には明記されていませんでしたが、検討過程で議論されていたことを考えると今後(人手不足も手伝って)対象となって来るかもしれません。いかに獣医師の指導下とはいえ、麻酔は相当の知識と経験が必要なもの、今後どのように「診療補助業務」の対象範囲が定義されていくのか留意する必要があるでしょう。
一方、国家資格となったことでこれら「診療補助」は愛玩動物看護師の資格保持者しか行うことが出来ず、「動物看護師(士)」といった民間資格保持者では出来ないばかりか、その名称を使うことも禁止されました。そしてもし「動物看護師」と名乗れば20万円以下の罰金が科せられる(愛玩動物看護師法42条および48条に規定)とのことです。経過期間の猶予措置はあるでしょうが、これは暫くは混乱が生じるかもしれません。
最後にこの国家試験の受験資格について簡単に触れておきます。それは、主に大きく次の3つに分かれます。
①実務経験者(すでに動物病院での看護経験者)や第1種動物取扱業の動物取扱責任者などの実務経験が5年以上の方は、主務大臣指定の「講習会」受講後、「予備試験」合格で受験資格を得られる。
②大臣指定の大学で対象科目の単位を取得して卒業した方、または都道府県知事の指定する専門学校などで3年以上の教育を受けた方はそのまま受験資格を得られる。
③既に大学・専門学校などを卒業した方は、在学中に対象科目の履修を条件に「講習会」受講で受験資格を得られる。
対象の科目、大学・専門学校のリストなど詳しくは、環境省のHP、愛玩動物看護師法、を確認してみてください。
実は・・・記者は①動物取扱責任者として登録後5年以上経過しているのです。(毎年の研修も受講済み)しかし、ここ数年実務経験はなしで・・このまま間違って試験合格でもすれば、ペーパードライバーならぬペーパー動物看護師になってしまいます。こんな記者が動物看護師にでもなろうものなら、飼い主・読者の方々の大迷惑になってしまいそうですが・・・動物看護師については今後も取り上げていこうと考えています。
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