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2016年10月号

行動学と脳科学視点からの子犬の成長について

2016年10月28日 20:30 by K-Tamaki
2016年10月28日 20:30 by K-Tamaki

まずは、子犬の成長についてその行動学と脳科学、2つの視点から知っておくと役に立つ知識をお届けします。

1.年齢別行動学的視点

子犬は、産まれてから次の段階を経て成長します。

新生児期(生後2週間頃まで):人間でいう乳幼児期にあたります。この時期の子犬は、母犬の助けなくしては、排尿、排便、体温調節も自力でできない状態にあります。仔猫と同じように母犬が舐めるなどの刺激を与えて排尿、排泄を促します。目があき始めるのは、生後2週目に入ってからで、耳はまだ聞こえません。

移行期(生後2週~3週間頃まで):目が見え始め耳も聞こえるようになります。音に反応し始め、子犬らしい可愛い仕草が見られます。この頃から排泄も自分でできるようになってきます。

第一社会化期(生後3週~12週頃まで):3週目から歯が生え始め、離乳が始まります。兄弟たちと遊ぶようになるのもこの頃からです。周りのさまざまな刺激からいろいろなことを学ぶようになります。離乳を終える時期は、7~8週目くらいです。

第二社会化期(生後12週~16週頃まで):ここからが一番大事な時期です。12週までが親元で兄弟たち(同種族)とのふれあいによる社会化期とするなら、ここからは人間社会の様々な刺激になれる社会化期となります。老若男女、音、物などいろいろなものとふれあい学習し、人間社会の一員となるのがこの時期です。この時期に適切な社会化トレーニングを行うことで問題行動の大半は予防することができます。

若齢期(生後16週~6、8ヶ月頃まで):犬は、生後6~8ケ月で性成熟を迎えます。この時期も引き続き社会化トレーニングを行うことで安定した成犬へと育てることができます。

2.年齢別脳科学的視点

犬は、三歳児並みの知能を持つと言われていますが(もちろん、それ以上に頭のよいと感じる子もいます)、ここからは犬の脳の発達過程にそって成長の段階を見ていくことにしましょう。

第一期(生後3週~7,8週齢):離乳が終わる生後7,8週までが脳に何かしらの社会性に関する変化が生じる時期とされています。具体的には、自分は何か(イヌ属である)ということを脳で認識する時期と言えます。この時期に親犬から引き離されて育てられた個体は、他の犬に攻撃性を示すようになります。動愛法で生後56日を超えない個体の展示・販売を禁じているのもその ためです

第二期(生後7,8週~4ヶ月頃まで)生後4ヶ月頃までに犬の脳の質量はピークを迎えます。すなわち、さまざまなことを学習するのに最適な時期となり、社会化トレーニングを行うべき時期と言えます。

第三期(生後4ヶ月から6,8ヶ月頃まで):この時期に犬の脳は、成犬のそれへと変化していきます。人間でいうテストステロンなどの性ホルモンが活発に分泌されるようになるのもこの時期であり、それにより脳の変化が起きるのです。社会化、躾については引き続きこの時期も行うことが重要となります。

第四期(生後6,8ヶ月~2,3歳頃まで):シナプスの発達により脳内に様々なネットワークがはりめぐらされ、脳が成熟のピークをむかえます。肉体的にも完全な成犬となります。社会化の時期を過ぎてもこの時期まで継続的なトレーニングをおこなうことでよりいっそうの効果が期待できるでしょう。

いかがですか?脳科学の視点からも(簡単な解説ですが)、生後4ヶ月頃までの社会化トレーニングが重要なことがわかりますね。

次は、具体的な社会化トレーニングについてです。

 

 

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