まずは、ここ一年間の日経との上昇率を比較してみましょう。
N225 :日経平均、#4901:富士フィルム、#8267:イオン、#8113:ユニチャーム、#4506:大日本住友製薬(ユニチャームのみ日経225非採用)
日経平均並みに上昇しているのはイオンのみですが、それでも全ての株が一年間で上昇しています。富士フィルムは、昨年の3月頃に自社株買いとアビガンの材料で大幅上昇した反動で昨年末までさえませんでしたが、年が明けてからキャッチアップしてきました。
では、日経が暴騰を開始したここ半年間では??
ユニチャームはほぼ横ばいでさえませんが、業績修正のあった大日本住友製薬が高パフォーマンス、コロナ検査薬の材料のあった富士フィルムも日経の上昇率に追いついてきました。では、ここから一口コメントです。
①富士フィルム:2/9発表の第3四半期は連結売上、営業利益がそれぞれ前期比△9%、△20.6%。通期予測でもそれぞれ対前年比△5.8%、△14.2%、減収減益予測でした。同社は、ペット関連といっても子会社でペット向け医療を行っている程度です。ペット特需などのコロナ関連での恩恵は直接受けることはありません。むしろ、昨年度のアビガンのように医薬品事業の期待先行で上昇しています(2/18日立の画像診断事業買収などで今後の医療分野の拡充を期待)。そしてアビガンですが、治験を再度やり直す方向で進んでいるようです。昨年度の治験は単盲検(たんもうけん:患者のみ偽薬を飲まされていることは知らされていない)で行われていました。次回は、二重盲検(医師も患者も飲んでいるのがアビガンか偽薬か知らされない)で行うそうです。医師の予断の入る余地をなくしてやり直すようですね。期待しましょう。
②イオン:以前に記者は株価は過剰評価と述べましたが、結果はさらに上昇しました。1/13発表の第3四半期決算では、連結売上、経常は前期比で+0.1%、△36.8%でした。通期予測ではそれぞれ△0.1%、△41.7%~51.4%、最悪で前年比50%の減益予測です。やはり、株価は高すぎると思えますが、この評価はコロナ収束後の消費拡大、業績急回復を期待して外国人投資家の資金が流入した結果でしょう(正直、ここまで買い上げられるとは驚きです)。日経採用で外国人資金流入のインパクトがはっきり示されています。また株式会社クスリのアオキの株式取得など今後の小売行の再編とそれによる業績拡大期待も株価上昇の背景にあるようです。業績以外の話題では、コロナワクチンの接種に店舗スペースを提供するという話題も。
③ユニチャーム:2/15発表の2020年12月期本決算では、連結売上、営業利益はそれぞれ+1.9%、+37..8%となっています。海外子会社を除く単体では、売上+2.9%、営利+16.3%。うちペットケア部門は、それぞれ+10%、+32.9%の増額。(売上約957億、利益142億)ユニチャーム単体で見るとペット関連は伸びが大きく、収益貢献できています。さらに来期の予測は、売上+5.8%、営利+3.7%で増収増益予想。業績面ではイオンよりも評価されて然るべき内容ですが、この株価推移は225非採用というのが影響していると言えるでしょう。
④大日本住友製薬:今期は増収減益予想(売上+4.8%、営利△30.3%)でしたが、2/12に売上予測を上乗せ、営業利益(非経常項目を除くコア営業利益)を上方修正しました。減益幅縮小を評価して、2月中旬より一気に上昇しています。同社は子会社で犬のヘルニアを注射一本で治す再生医療、ペット用医薬品の製造販売を手がけていますが、これらは今回のペット特需を享受するとまではいかないようですね。
以上、簡単に大型株をみてきましたが、明らかに業績回復期待先行でも日経225採用の恩恵は大きいといえる結果です。
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