まずは、ペットに由来する人畜共通感染症からいきましょう。狂犬病を始め、色々な感染症がありますが、病原体からみて、代表的なものは次の通り区分できます。
ウィルス:狂犬病
細菌:サルモネラ症、カプノサイトファーガ、レプトスピラ症、猫ひっかき病、オウム病、Q熱
真菌:クリプトコックス症
原虫:クリプトポリジウム症、トキソプラズマ症、
寄生虫 線虫:犬糸状虫症、アライグマ回虫症、
条虫:ウリザネ条虫症、エキノコックス症
ここで、講義内容まとめの前に、少し予備知識を、”いまさら聞けない、ウィルスと細菌と真菌の違い”について少し触れておきましょう。簡単に、①大きさ、②基本的な構造、③人への感染・増殖の方法、④治療法について違いをまとめてみました。
①大きさ: 人の細胞>真菌>細菌>ウィルス、人の赤血球は、直径7-8μm、それに対して大腸菌(細菌)は、その長さが 2-4㎛、そしてインフルエンザウィルスはその直径が 0.1㎛ マイクロメートル(㎛)は1メートルの100万分の1。そして真菌(カンジタ等)は赤血球より小さく、大腸菌より大きくなる。
(大幸薬品さんのHPより引用)
②基本的な構造:ウィルスはその粒子の中心にある核酸とそれを取り囲むタンパク質の殻から構成されDNA(遺伝情報の伝達)かRNA(タンパク質合成)のどちらか一方しか持たない。人の細胞に潜り込んで増える。それに対して、細菌は細胞壁と細胞膜、DNAとRNAの両方を持っており、細胞がなくても増殖できる。そして、真菌は細菌と同様の構造だが、核と呼ばれるDNAなどを包み込む膜が存在している。構造上、一番人の細胞に近いのが真菌となります。
③人への感染・増殖の方法:ウィルスは人や動物の細胞にもぐりこみ増殖する。細菌は体内に侵入すると細胞分裂で自己増殖しながら、人の細胞に侵入するか、毒素を出して細胞を傷害する。そして、真菌は人の細胞に定着して、菌糸が成長と枝分かれによって発育していく。
④治療法:ウィルスは細胞膜がなく人の細胞に寄生しているため治療薬は少ない。ウィルスに直接作用するか、または免疫機能を高めてウィルス自身を叩く抗ウィルス薬を用いる。細菌の治療に用いられるものが抗生物質で、細菌の細胞に直接作用するか、増殖を抑制することで治療する。そして、真菌に対しては抗真菌薬が用いられ、真菌の細胞膜を破壊したり、細胞膜の合成を阻害することで治療する。身近な薬では、タミフル等のインフルエンザ治療薬は、抗ウィルス薬、ストレプトマイシン(結核の治療で用いる)等は抗生物質となります。
では、次章で講義内容のまとめといきましょう。
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