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2014年12月号 vol.2

研修のツボ2 動物愛護法関係~罰則、人畜共通感染症その他

2014年12月23日 22:41 by K-Tamaki
2014年12月23日 22:41 by K-Tamaki

 動物愛護法において、罰則規定は第44条以下50条までに規定されています。

この中で最も重いものは、動物虐待と遺棄に関する罰則を定めた第44条で「愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処す。」となっています。

次に重い刑罰は、第45条に規定されている特定動物(人の生命、身体又は財産に害を加える恐れのある動物として政令で定める動物)関連の無許可飼育、届出不備・虚偽記載などに関する罰則、6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金、となります。特定動物とは、具体的には、手長猿、クマ、サイ、象、カバ、きりん、などからにしきへび、カミツキガメまで結構多くの動物が指定されています。

懲役刑が科せられるのはここまでで、次の第46条からは罰金のみの刑罰です。第46条は、未登録または不正の登録で第一種動物取扱業を営んだ者または基準遵守に係る勧告及び命令違反を行った者には100万円以下の罰金、生活環境の保全に係る勧告及び命令違反には50万円以下の罰金と規定されています。ここでいう遵守基準とは、適切な環境で動物を飼養していない、責任者に研修を受けらせていない、種別ごとの遵守基準、例えば、生後56日にみたない子犬・子猫を販売してはいけないことなどです。これらに違反すると即罰金ではなく、業務改善勧告または停止命令が出され、その命令違反に対しての罰金ということです。また、多数の動物飼養または保管に起因する悪臭等で周辺の生活環境が損なわれている場合やその結果として(狭いゲージに詰め込み過ぎなどで)動物虐待になっている場合に出されるものが、生活保全に係る改善勧告・命令となります。

ここで、一つ注意すべき刑罰があります。動物取扱業を営む法人が(その法人に所属する従業員が)違反行為を行った場合には、特定動物関連の違反(第44条)は、5,000万円以下の罰金、そして虐待及び遺棄には200万円以下の罰金が、その法人に課されるというものです(第48条)。もちろんそれを行った個人にも所定の罰金が課せられます。法人の場合には、監督不行届の罪が大きいというわけですね。

さらに、遺棄、虐待などの行為は言うまでもなく、届出書類の不備・虚偽の届出等へも罰金が課せられるので注意が必要でしょう。具体的には、住所変更、飼養施設の閉鎖、業務内容変更などを30日以内に届け出なかった場合及び虚偽の届出をした場合、改善勧告・命令にたいする違反等には30万円以下の罰金が(第47条)課せられます。ここで、届出関係で重要なことは、①住所変更(世田谷区から杉並区など区、都道府県をまたがる変更)には新規の登録が、②個人営業から法人へと変更する場合(またはその逆)、並びに親から子へと事業を引き継ぐ場合には、一度廃業届を提出後、新規の登録が必要となるということです。また、廃業の届出不備や帳簿を備えず、または5年間保存していなかった場合には20万円以下の罰金が、(第49条)、そして、標識を記載していない場合(登録番号、担当者等の明示のことで、もちろんネットのHPの記載も含まれます)に対しても10万円以下の罰金(第50条)が科せられるのです。特に、最後の50条の掲載義務違反は、ペット関連のお仕事をされていない方でも見分けられるので覚えておくとよいでしょう。

 

  動物愛護法関係の最後は、第二種動物取扱業の説明と狂犬病予防法の説明です。

第二種動物取扱業の届出が必要となるのは、営利性のない動物取扱のうち、飼養施設を設けて一定以上の動物を飼養する場合が該当します。つまり、無料でゲージ等を備えて、犬猫を預かっている場合などが該当するわけです。業務で使用している施設とは別に飼養施設を設けて無料で犬猫を預かる場合や、同じ施設を使用するが別の種別の無料の行為を行う場合(例:預かりは有料だが、同じ場所に無料で譲り受けを斡旋している保護犬も預かっているなど)にも第二種動物取扱業の届出が必要となるのです。

 最後は、狂犬病予防法についてです。研修で強調されたのは、「生後91日以上の犬を飼養する場合は、繁殖用・販売用の用途を問わず登録及び狂犬病予防注射を受けさせる義務がある。」ということです。ペットショップ、ブリーダーとて例外ではなく、生後91日以上の犬はすべて予防接種と届出が必要ということですね。ちなみに、違反はその程度によって30万円以下もしくは20万円以下の罰金ということになっています。

 

狂犬病については、研修後半の人畜共通感染症のところでも説明を受けました。日本では、昭和32年以降犬での発症例はないそうですが、発症前にワクチンを打たなければ必ず死に至る病であり、海外ではまだまだ発症例が多いことから、決して注意を怠ってはいけないとのことです。狂犬病の他にも人畜感染症は多々ありますが、説明を受けたものを列挙しておきます(研修時に配布されるテキストに詳細に書かれているので研修後に参照してください)。病名の後に、①動物の主な症状、②感染経路、③人間の主な症状の順にあげておきます。この中で動物は無症状にもかかわらず、人間に感染すると重篤化するものには特に注意が必要ですね。

犬プルセラ病:①精巣炎、死産・流産、②流産時の汚物・尿等に接触、③風邪に似た症状

オウム病(その名の通り、オウム・インコ等鳥類から感染する病気):①下痢・元気消失、②フンの中の病原体吸入、③風邪に似た症状

カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症(犬、猫から感染):①多くは無症状、②かみ傷やひっかき傷、③稀に重篤化すると敗血症、髄膜炎、中には死亡するケースも。免疫力の弱っている人は注意。

サルモネラ症(カメ、特にミドリガメ注意):①多くは無症状、②フンの中の病原体が口に入る、③胃腸炎(食中毒)

人間への感染で重篤化するものは、確かに怖い病気ですが、そのほとんどはその用途に合った消毒をしっかり行えば予防できるもので過度に恐れる必要はありません。

 

以上が研修内容の概略となります。

 

 

 

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